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第376回 ~荒い値動きの中で虫の目を読む~

2020年03月11日

怒涛のような値動きは4週目に入った。ドル円は、2/20に112.23円の高値を付けてから、3/9の101.18円の安値まで、約3週間で約9.8%の急落となった。今日までの1週間の値幅は6円50銭あまり、6%の円高で、101円台は3年4か月ぶりだ。安値を107円とした先週の相場予想はいったい何だったのか、と思わせるほどの激変だ。

しかし、トランプ大統領の給与税減税を含む、コロナ対策としての財政発動検討との報で、大統領就任前のトランプラリー(2016/11)再燃を想定したドル買いで方向は逆転、ドル円は105円台まで上昇、現在も105円ばさみとなっている。

今回のリスクオフ相場のきっかけは、新型コロナウイルスの拡大を受けたものだが、被害がアジアから欧米に広がり、その上、出口が見えないことで、急速に現金化の動きが高まった。このような荒っぽい値動きがどこまで続かかであるが、筆者はもう一段の乱高下があると考えている。その理由は、欧米の被害拡大はこれから表面化し、また企業業績の悪化、世界経済の大幅後退への懸念の高まりが今後明白になると予想し、その時期はセルインメイの5月とみている。

ところで、今回のような常識を覆すような値動きは、為替相場だけではない。今回の下げ相場に輪をかけた原油相場は、1週間前の48.4ドルから27.35ドル(3/9)まで43%余りも暴落した。ロシアの協力姿勢がなくなったことでOPECの崩壊とも言われ、原油価格はもはや地図のない海路(uncharted territory)にさまよい始めた、との見方だ。

そこで、サウジを始め産油国が、資金繰りのために保有株の大量を売ったとの観測も株の暴落を招いた。合わせて原油価格の暴落は、資源国通貨の下落も招いた。豪ドルは0.6292まで低下、これは2009年3月以来11年ぶりの安さだ。カナダドルも1.3796まで売られ、2016年2月以来の安値を付けた。

また、リスクオフ商品として買われた米国債は10年利回りは、1週間前は、1%割れで騒いだが、あっという間に0.5%も割り、3/9には0.392%まで低下した。この低下を受けて市場では、次回のFOMC(3/17-18)では、もう一段の利下げは間違いなし、と市場に織り込み始めた。

ところで、虫の目で、今回のドル円の相場展開を見ると、2/8ルールが実によく機能しているとわかる。すなわち、20銭と80銭が節目になって、相場が変動していることである(実際はその前後5銭が折り返し点になっていることが多い)。例えば、わかりやすく言えば、ドルが105円台から売られるとき、104.80円前後で一回止まるが、104.75銭が割れると、104.20銭まで続落する。そこで一回止まるが、104.15円を割ると103.80円が次の下値の目標となる。しかし割らなければ反転し、104.80円を目指して上昇する、という仕組み(値動き)である。

今回の安値、101.18円もこのルールで考えるとわかりやすい。この値動きの背景は人間の心理に基づいたものと言えるが、このような節目を意識して相場を見ていくと一つのディーリング戦略も作れるのではないだろうか。

今後1週間は、ドル円は、103.50~106.00円。またユーロは、対ドルでは、1.1150~1.1400、対円では先週と同じ118.50~120.50円、英ポンド/ドルは、1.2750-1.3050と予想している。

(2020/3/11, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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