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第392回 ~中国のドル離れは加速するか?~

2020年07月15日

ドルが動き始めた。株高のリスクオン基調のなかで、ドル円は再び106円台へ下落、対ユーロでは1.14台半ばまでユーロ高/ドル安となり、1.1495の年初来安値(3/9)目前となっている。ドルの総合価値を示すドルインデックスも95台半ばまで低下速度を速めており、今年3月以来の安値となった。

今月はドル安の月と考えていたので、まだ予想の範囲内だが、問題はこれがドル下落の始まりなのか一時的なのか、そしてその仕掛けの中心は何か、また誰か、と言うことになる。約8割がアルゴなどの取引であることを考えれば、ドル安要因となるデータや話題が際立ってきたということでもある。

個人的に、ここ1~2か月の市場の空気で気になっていたことがある。それは「ドル離れ」の動きである。これが本当に進んでいるかは直接の当事者から聞くわけにはいかないが、このタイミングでドル安が進行していることで、中国の姿が見えてくる。米国の強硬な姿勢が最近目立つが、この動きは、中国側の心情を逆なでしていると容易に想像でき、ドル安の裏に中国などの反米の力が働いていると推測できる。

昨日(7/14)は、トランプ大統領が、香港自治法への制裁として、貿易の優遇措置の撤廃など中国金融に対する制裁を決めた。13日にはポンペイオ国務長官が、中国の南シナ海領有権主張に対し、違法だと受け入れない発言をしている。ここまで明確なメッセージをだしたのは初めてで、よほど中国の行動に腹を据えかねているのだろう。これまでなら、事が大きくならないように外交レベルで伝えているのだろうが、もはやその段階は過ぎたのではないだろうか。

一方、中国としても、米国からそう言われたら黙っていない。言葉の応酬が続いている。今、中国側にも経済力、人民元の存在感の高まりを背景に、強く反発する力がついているからだ。人民元高も進んでいる。6.98元(対1米ドル)台まで上昇、今年の最高値(6.8388, 1/20)にはまだ遠いが、景気も回復、輸出入も前年比増の発表があったことは中国復権をうかがわせる。

また、先月末にIMFから発表になった外貨準備の通貨別内訳でも、中国元のシェアーは2.02%(2020/3末)と、はじめて2%台に乗せた。ちなみに米ドルは61.99%と2019年末の60.90%から増加、2位のユーロは、20.58%から20.05%に低下、日本円は変わらずの5.70%だった。金の保有高も着実に増加させており、今日発表予定の米国債保有額の増減も注目される。

ところで、「金」の上昇に歯止めがかからない。先週、1,817ドル(直物、1オンスあたり)と、2011年9月以来の高値を付けた。これまでの高値は、その時付けた1,920.74ドルで、今年中に更新する確率は高いと予想している。

さて、今後1週間はドル下落の週と考え、ドル円は105.80~107.80円と予想。またユーロは、対ドルでは1.1300~1.1500、対円では121.00~123.00円と予想、また英ポンド/ドルでは1.2500-1.2800と予想している。

(2020/7/15, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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