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第405回 ~トランプラリーの再現はないのか?~

2020年10月14日

先週、NY市場の終値で105.80を上回れば、3度目の正直でドル円のレンジは105.50~107.00に上方修正されると予想した。米ドル金利の上昇を材料に、確かに一時は106.11円までドルは買われた。しかし、それは2日間のみ、3日目(10/9)には105.20円台まで下落して引けた。その後105.80円に戻ることなく、105円台前半で低迷している。

根底には、長期的なゼロ金利政策と大量なドル資金の供給を背景にした中期的なドル下落予想がある。最近、米国の大手証券会社が、バイデン勝利に備えて「今こそドルをショートにする時だ」とコメントを投資家向けに出したことも関係あるかもしれない。ただ一方で、どちらが勝利しても財政拡大政策をとるとの見方から、ドル高の可能性が高いとの予想も増えている。一方で、ブレグジット問題でも、英国とEUと離脱交渉が停滞していることでユーロ売り、ポンド売りの材料があり、ドル上昇見通しも根強い。それが、一気にドルは売られていない要因となっている。

しかし、早いもので、大統領選挙(11/3)まであと3週間足らず、今、早計にポジションを一方向に傾けることないと、結果を待つという参加者も多い。ただ、筆者は、短期的(来年1~2か月)には後者、それ以降は前者(ドル安)の見方である。

そこで、4年前のドル円の動きから今回の相場変動の可能性を考えてみた。まず第一に、この4年間で低金利、大量のヘリコプターマネーが供給され、投資環境が大きく変わった。また新型コロナウイルスの影響で、変動要因もリスクへの対応も様変わりであることを認識しておかなければならない。そのうえで4年前の相場展開を紐解いた。

2016年の米大統領選挙は、大方の予想を裏切ってトランプ氏が当選した。選挙日前の10月には、ヒラリー氏の勝利を予想、不安定要因の払しょくが期待されて、ドル円は9月の100円台から104円台に上昇していた。そして、結果発表(11/8)、市場は驚愕! ドルは101円割れ寸前まで売られた。しかし、そこで、トランプ氏は、大幅な財政拡大策の早期実行を打ち上げた。トランプ・ラリーが始まった。ドル円は、わずか2週間で110円台に急上昇。その後4週間続伸。1か月余りで、118円半ばまで上昇した。

今年も、トランプ大統領は、再選を確実にするために、特に不利な状況では、前回と同じような政策を発動するだろうとの見方があった。それがドル上昇見通しの背景である。しかし今回は期待外れ。トランプ大統領は、新型コロナに対応した財政支援策を、来年の新大統領就任(1月20日)後に延期した。これでは、財政拡大によるトランプラリーは見込みがない。しかしトランプ大統領の再選は、支持率的には大きく後塵を拝してるが、全く見込みがないわけではない。この不透明さから、ドル円についていえば、大統領選挙の結果が出るまでは、ドルは軟調気味ながらも一方向に動くことはないとの予想になる。

今後1週間の予想レンジは、ドル円は先週より若干の円弱含みの105.20~106.80円。またユーロは先週と同じ1.1625~1.1825、対円でも同じく123.50~125.50円。英ポンド/ドルについては、過去1週間は予想に比べポンド高であったが、今後1週間は前週予想と同じく1.2650-1.2950とする。
(2020/10/14, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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