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為替大観

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第424回 ~近くて遠い110円~

2021年03月10日

 「これはスピード違反だ!」
 ドル円下落は想定通りだったが、しかし急落スピードの速さには驚いた。ドル円は109.23円まで買われ、昨年6月8日以来の円安となり、またユーロも下落、1.1836と昨年11月23日以来のユーロ安となった。一方、ドルインデックスは92.503まで上昇(3/9)、昨年11月24日以来のドル高で、平たく言えばドル全面高と言ってよい展開であった。

 米10年国債利回りが1.625%まで上昇、ほぼ1年ぶりの水準になったことが主な要因だが、これを材料にドル買(円売り、ユーロ売り)を行った人がいることを考えなければならない。今後の見通しを考えるに際し、このような取引の動機を知ることは重要だ。もし保有していたポジション(この場合、ドル売り/円買い)を縮小させた(ドル買い/円売り実行)のであれば、次のアクションにはバイアス(後述)がない。しかし、新たなポジションを作ったのであれば、心は「どのレベルで利食う(ドル売/円買)か」、となり、バイアスが発生する。

 バイアスとは、先入観、偏り、思い込みという意味だが、無意識の意識ともいえる。具体的には、例えば、ドル買いのポジションを作ったしよう。その瞬間の気持ちは「よし、値上がりしたら利食うぞ。上がってくれ!」となるが、その一方で「もし売られたら困る。損切のレベルも考えなければならない」となる。どちらのケースも機械的に水準を決め、あとは寝て待つ、ということであれば、バイアスは、利食い/損切りの水準を決める時に発生するだけで、あとはバイアスからは解放される。

 しかし、市場動向を見ながら、次のステップを決める場合は別だ。ポジションを作った段階で、バイアスが発生する。まず、ポジションを作る前に市場(相場)を見る目はフラット、すなわちドルが上がるか下がるかについての気持ちは50:50である。そしてドルを買った場合、その瞬間にドルが上がってほしい(上がるはずだ)と、相場を見る目は上昇方向に50以上、下落方向に50以下となる。これがバイアスである。

 さて、109円台を付けた今のドル円相場にバイアスが出ているか、であるが、筆者は、ほとんどないとみている。その理由の一つとして、シカゴ筋と言われる円買いの投機ポジションが先週(3月2日現在)に前週より縮小、それ以降ドル買い/円売りを進め、今はほぼスクエア(ポジションなし)になっている可能性が見えるからだ。また、テクニカル的に見ても、短期(21日)移動平均線との乖離幅(率)が2円(2%)以上(最大は3/8の2.88円,2.6%)とこれまでになく大きく、ドル買いもかなり進んでいると読める。108円台でもみ合っていることでもそれが推定できる。とすれば、短期的には、乖離幅を縮める方向に動くことになり107円台までドル下落、そこで次の方向を見定めることになると考えている。そこでバイアスが発生する。
 筆者はドル買いでバイアス発生、と予想しているが、それはその段階でまた述べたい。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は行き過ぎの調整が入り、107.50~109.00円と円高推移を予想。ユーロはECB理事会で緩和政策の強化を予想し、対ドルで1.1670~1.1920、対円では128.00~130.00円と予想。一方、英ポンドは、1.3700~1.4000と予想する。

(2021/3/10, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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