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第429回 ~パウエル議長発言はドル高誘導となるか~

2021年04月21日

 ドル円は3月31日の110.97円を高値に、4月に入ってドルは続落、今日は108円を割り、107.87円まで売られた。絵柄的には、若干いびつだが、107.80円(3月5日)を底に、111円をトップにして、今日4月21日のドル安値107.87円まで低下と、まさに行って来いとなっている。日足でみると上りに時間がかかっているが、下りはほぼ一直線に切り下がっている。

 この要因は何か、一言でいえば、米10年国債利回り(以下、米金利)動向である。比較するとほぼ同じ軌跡をたどっていることがわかる。10年債の最近のピークは1.776%を付けた3月30日、ドル円はそれを受けて110.97円(3/31)とドル高ピークになった。ドル円チャートで底辺となる上記日付の米金利は、3月5日終値が1.577%、そして昨日4月20日の終り値が1.566%と、日付とレベルがほぼピッタリだ。この間の日本の10年債は、0.090%(3/5)―0.095%(3/31)―0.067%(4/21)と、ほとんど動きがなかったことを考えると、ドル円は、米ドル金利の動きに沿って動いていると言える。

 では、この先どう読むか。当面は米ドル金利動向に沿った動きがそのまま続いていくと予想する。この意味で、明日から始まる中央銀行ウィークが注目すべき指針となる。明日(4/22)のECB理事会を皮切りに、来週は、日銀決定会合(4/26-27)、米FOMC(4/27-28)と行われる。ECB、FOMCは、両行とも3月の会合で、3か月ごとの基幹政策を発表したので、今月は、政策的な変更はない(すなわち緩和維持)と予想している。

 そして日銀は、2021年度最初の会合であり、展望レポートが発表になる、3月に政策点検を行ったことで、この結果に沿った政策調整が行われる可能性がある。但し、短期、長期とも金利を大きく変動させるほどインパクトのある変更はないであろう、どちらかと言えば、金利を低下させ、マネーサプライを拡大させる施策を追加するかもしれない。こうなれば、円安バイアスとなる。

 一方、こうした中で、今シリーズ最後の登場となる米FOMCの見解―声明文やパウエル議長の記者会見―は大きな波を引き起こす可能性がある。こう考えるポイントは、3月のFOMC後の発表になったドットチャートである。前回(昨年12月)に比べ、金利見通しの上振れメンバーが増えていることである。第4四半期比較であるが、2021年は全員現状維持だが、2022年は利上げ肯定派が4名に増え(12月は1名)、2023年は7名(同5名)に増え、かつ利上げ幅も2回分相当になっている。

 今回、すぐに利上げ示唆とはならないであろうが、次の波乱要因としてインフレ動向に目が注がれていることから、テーパリング(債券買い入れ金額の低減)の時期を想像させるコメントが出るかどうか気になる。どちらにしても、ドル金利は下がる方向でなく、底堅く徐々に切りあがっていく方向になると考えている。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、107.75~109.75円と予想。ユーロは、対ドルで1.1900~1.2100、対円では先週と同じ129.50~131.00円と予想。一方、英ポンドは、1.3800~1.4100とポンド高と予想する。

(2021/4/21, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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