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為替大観

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第432回 ~今月の先にあるもの~

2021年05月19日

 米ドルの下落基調が止まらない。ドルインデックス(DX)で米ドルの状態をフォローしているが、昨日は89.693まで一直線に下落、今日も89.688まで下落して、現在(17:00)少し持ち直している状態だ。最近はドルが下落しても、ドル全面安のドル安=円高にはなっていないが、為替市場は24 / 7(一日24時間、一週7日間)と言われるほど、いつなんどき豹変するかわからない世界だ。その点で、筆者は、為替取引には休みがないと認識しておくべきと、肝に銘じている。為替市場全体の値動きとともに、全体としてDX相場、そして取引量の最も多いユーロ、次いで離脱したと言っても欧州の一角を占めている英ポンドの相場展開に注意を払っている。

 ところで、DXは、今、安値更新になるかもしれないという、きわめて危機的な位置づけにある。この後重要なポイントが続く。まず89.683(2/25安値)、89.321(1/7安値)となり、89.209(1/6安値)を割り込めば、次は2018年3月下旬以来の安値となる。同時期のドル円安値は104.72円だ。もちろんその節目、節目で変動要因は異なるので、同じに考えることは避けなければならないが、相場は生き物と考えている筆者は、これまでもどんな小さな動きでも変動のヒントになると頭を巡らせている。

 今、頭にあるのは、ドル安=円安が、次はドル安=円高になるということを想定して、その要因、きっかけ、タイミングを見つけることである。その大きなヒントとして筆者が決めているのは、一つは中央銀行の金融政策であり、次の6月の会合が分かれ目になるかもしれないということである。そしてこちらは、雲をつかむような話であるが、米ソを中心に進んでいるであろう、米ドル離れの進行状態である。

 「真の情報は深く潜行する」との賢者の言葉がある。ヘッジファンド業界に詳しく、国際政治金融の情報通である米国の友人が教えてくれた言葉である。国際金融市場に表には見えない何かが進行しているかもしれない。ドル離れが世界的に静かに進行しているとすれば、無視できない動きとなる。

 さて、DXの位置づけは前記の通りだが、ユーロ、英ポンドについても重要な相場水準にある。1.2349を超えると、2018年4月以来のユーロ高になり、英ポンドについても1.4241を上回ると、ユーロと同じくほぼ3年ぶりのポンド高となる。ユーロよりポンドの新高値実現の確立が高いと読んでいる。英国の方が、ロックダウンの緩和や、一部ではあるが国外旅行者の隔離義務付けを解除する方向であることが明らかになっているからだ、また金融政策でも超緩和政策からの出口について明らかになってきたこともポンド買いの要因となる。

 一方、5月に入って、米国景気指標には、回復立ち止まりの傾向がみられる。これまで、バイデン大統領のアメリカ救済3本柱や、ワクチン接種の急速な進展で、景気回復の期待が一気に盛り上がり、米金利の上昇を演出していたが、上昇の勢いも萎えてきている。この点も、ドル上昇に陰りが出てきているかもしれないと、気にかけている。

 4月28日からドル円は、おおよそ108.50円~109.50円のレンジ内で推移している。今月は政治面、景気面、金融政策面、いずれを取ってみても、この水準で推移する確率が高いと予想している、唯一気になるのは中東情勢である。今アメリカの旗色が悪い。有事のドル買いにはなりにくい構図である。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、先週と同じ108.00~109.50円と予想。またユーロは、対ドルで1.2150~1.2350、対円では132.50~134.50円といずれもユーロ高を予想。一方、英ポンドは、1.4000~1.4250とポンドの堅調推移を予想。

(2021/5/19, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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