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第437回 ~パウエルの胸三寸~

2021年06月23日

 FOMCの結果で金融市場がぐらついたことに一番驚いているのはパウエル議長ではないだろうか。何よりも昨22日の議会証言でハト派的発言に終始したことで筆者はそう判断した。「当局に逆らうな」とか「当局の方向に乗って行け」とはよく言われる言葉だが、そのためには、その当局、ここではFRB、がどちらに向かっているかという将来の方向性、そしてその時間軸を判断していかなければならない。

 実際に売買している当事者としては、結果が発表になった後、何もしない、という選択肢はない。渋滞理論の工事渋滞トレーディングであるように、発表後のいわゆるヘッドライン(最初のニュース見出し)で、素早く反応していくことになる。

 しかしその反応の前に事前の準備も必要だ。金融政策の方向性は今はどちらに向いているか。まず年に8回開催されるFOMCでその時々の政策を押さえておく。そして年4回発表される経済見通し、ドットチャートで、将来の見通し、方向性も頭に入れておく。今回は、イ)インフレ警戒の高まりで、前回のドットチャートで明らかになっていた「利上げは2024年以降」がどのように変化するか? ロ)資産購入の減額を意味する「テーパリング」のタイミングはどうなるか? が、二大ポイントとなっていた。

 結果は、イ)2023年に二回(0.25%x2回)で0.5%の利上げ見通し、ロ)テーパリングについては「今後の会合で議論する」と、これまでより一歩進んだ発言となった。市場はいずれも予想以上の引き締め評価として、素直にドル買い、債券売り(金利高)、株売りに動いた。ディーリングの基本としては「最初の反応は正しい」となる。しかしその後は材料出尽くしで逆回転。ただ、その方向もまた変動、目まぐるしい動きが続いている。

 そこで、ドル円だが、今日は上昇。今年の高値は、今現在、3月31日に付けた110.97円。超えると2018年3月以来の円安となるが、111円の壁は厚い。この水準でドル円は先行きを占う極めて重要な節目に立っている。ではこの勢いは本物か、あるいはフェイクなのか。この問題を解くカギは、ひとえにFRBのリーダー・パウエル議長の胸三寸と考えている。そこで、現在公に入手できる過去から現在の至る声明文、議事録、講演、記者会見などの文言や発言から、パウエル議長の胸の内を探っていくことになる。

 ここで筆者が注目している言葉は、イ)雇用問題として「包摂雇用」、ロ)物価上昇への評価として「一時的」、ハ)「テーパリングの内容と発表時期」である。「包摂(ほうせつ)雇用」については、以前触れているが、「多くの人(人種、障害の有無、年齢等にかかわらず)が参加したうえで、失業率が低下することが必要」との考え方である。

 例えば、イ)5月の全体の失業率は5.8%(4月は6.1%)だが、人種別の失業率を見ると、白人が5.1%(同5.3%)に対し、黒人は9.1%(同9.7%)、ラテン系7.3%(同7.9%)、アジア系5.5%(同5.7%)と人種によって大きな違いがある。4月に比較すると改善はしているが、これらの差を縮めることがパウエル議長の目標であると言ってよい。

 ロ)、ハ)については次回以降に触れていきたいが、どちらにしても、パウエル議長は、引き締めを急いでいないと読み取れる。とすれば、ドル金利が一方期に上昇することはないと考えられ、したがってドル円も112円、113円と続伸することはないと予想している。ただ下がったら買いは、一つの戦略となろう。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、109.50~111.25円と予想。またユーロは、対ドルでユーロ安の1.1850~1.2050、対円では先週より円高の130.50~133.00円と予想。また、英ポンドはポンド安の1.3750~1.4050と予想する。

(2021/6/23, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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