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第443回 ~ドルに影落とす米二大政党の駆け引き~

2021年08月04日

やはりというか、これは大きな闘いになるな、と思わせるに十分な、米二大政党の戦いの火ぶたが切って落ちされた。2年間のモラトリアム(適用一時停止)を経て、7月31日に米国債務上限停止期間が満了とあり、8月1日から、債務上限が復活したこと。何も議論することなく、民主党も共和党も時が流れるのをじっと見ていたことで、これからの議論の激しさが容易に想像できる。

新たな上限は約28.4兆ドル、正確な金額は、棒読みすると、「28,401,462,788,891,71ドル」である。日本語的に言えば「28兆4,014億6,278万8,891ドル71セント」と実に中途半端な数字である。しかし2年前の約22兆ドルより約6.4兆ドル債務上限は増額された。見た目は「増えた」と言える。しかし上限は少しも増えていない。その理由は、法律により、新しい上限は、モラトリアム最終日(2021年7月31日)の債務残高とする、となっているからだ。すなわち上限は現在の借入残高であり、ここから新たな借り入れはできないということになる。

イエレン財務長官は、7月末の期限到来を前に、早い時期から「何もしなければ、新たな借り入れができず、米国は支払い不能のデフォルト状態になる。内部でやりくりしてデフォルト回避するのも限界がある。その猶予はあと1~2か月。早急に、再びモラトリアムを決めるか、上限を増加するかを決めてほしい。無策は国家の危機だ」と、議会に早急な審議を強く要請した。その声はまだ議会に届いていない。イエレン長官はきっとイライラ、やきもきしているだろう。

歴史的に見ると、これまで何度も同じ問題が起きている。トランプ以前は、ほぼ1年ごとに上限引き上げ協議が為されてきた。そこでトランプ大統領は、その慣習を一気に停止し、問題を先延ばしにした。一度は、国立機関の運営資金や国家公務員への給与支払いもできず、国立公園や博物館が閉鎖され、職員が自宅待機となって経済指標も大幅遅延になったこともあった。問題が長期化すると、米国債の格下げ懸念も台頭し、米国一斉売りという状態にもなりかねない。それほど大きな問題を含んでいるのである。

なぜこんな状態になっているのかと言えば、先週の当コラムにも書いたが、共和党の攪乱戦略である。最終的には、妥協することになると思われるが、政権が変わり、また来年の中間選挙を控え、共和党が死に物狂いで民主党いじめをする可能性はある。その意味であまり楽観視はできないと懸念している。

この混乱が、今週からのドル安要因の一端になっているのは間違いない。今週は筆者の予想以上にドル円は売られ、昨日は5月26日以来の109円割れとなった。一時は108.88円までドルは下落した。ドル自体も低下している。先週安値92.317から今週は今日現在、安値が91.782と下落しており、ドルは弱くなっていることも事実だ。米10年債利回りも1.151%に低下、ドルが買い進まれる地合いが減退していることに注意が必要だ。

さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は雇用統計を週末に控えているが、政局不安を嫌ったドル売りが入ると考え108.20~110.20円と予想。またユーロは、対ドルで先週より強く1.1750~1.1950、対円では変わらず129.00~131.00円と予想。英ポンドは先週よりポンド高の1.3850~1.4050と予想する。


(2021/8/4, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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