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第444回 ~ジャクソンホール会議までに準備すること~

2021年08月11日

今月のハイライトは26~28日に開催される、ジャクソンホール会議(下注)の米FRBパウエル議長の講演である。市場の参加者が聞きたいことはただ一点、「テーパリングはいつから始めるか」である。そして、どのような手順・方法で行うか、が次の焦点になる。

現在は国債を月800億ドル、MBS(不動産担保証券)を月400億ドル購入、すなわち市場に毎月1,200億ドルの現金を供給している。その状態をいつまでに解消するか、その方法(どの資産を、ひと月にどのくらいの金額で減額していくか)により、金融市場に与える影響が異なってくるので、この点も大きな関心となる。ただ、会議まで後2種間ほど日がある。その日まで何に注意したら良いか、どのような事前準備は必要か、について考えてみたい。

ところで、テーパリングは金融政策なので、議長一人で決められるものではなく、最終的には必ずFOMC(連邦公開市場委員会)での機関決定が必要になる。そのFOMCの次の開催日は9月21-22日。しかし一方で、そこでいきなり決定し発表することはない、と誰もが思っている。FRBは市場との対話を重要視し、よほどの緊急事項(昨年3月のパンデミック時の緊急利下げのような事案)がない場合は、いわゆるフォワードガイダンスという形で、前もって市場にメッセージを発しているからである。その絶好の機会が今月ジャクソンホール会議となる。

パウエル議長は市場の要望を十分理解しているに違いないので、何らかの形で、方針の一端を明らかにするだろう。昨年も同じような空気で新たな方針を明らかにしたので、今年も踏襲することは十分に考えられる。昨年は「物価上昇率の考え方の変更」を打ち出した。物価の2%超を容認、「期間平均で2%のインフレ率を目指す」と、いわゆるアベレージ・インフレターゲットの導入を明らかにした。

発表直後は、「ゼロ金利の長期化だ!」と反応し、ドルは売られ、106円台から105円台に50銭下落した。しかし、物価上昇を容認するとすれば、金利上昇につながるとの見方が優勢になりドル高に転じ、底値から1円上昇してNY市場は引けた。それでも趨勢的にはドル安の流れは変わらなかったが、ジャクソンホール会議のFRB議長の発言で為替市場が動いた一例として、記憶に新しい。それ以前も2010年のバーナンキ議長(当時)の発言でも影響を受けたこともあり、今年も同じような心構え、準備で講演を待つことが必要であろう。

そのためには、特にFOMCの投票権あるメンバーの発言は傾聴に値する。いわゆるアドバルーンということもあるし、今後の景気動向、物価動向に大きく左右されるので、一時の発言に固執するのはかえって危険かもしれない。しかし個人別に、全体的な傾きと共に、時間的な変遷を把握しておくことはパウエル議長の発言を予想する重要なヒントになると考えている。

その投票権を持っているメンバーは11名、まずFRB理事(パウエル議長含め6名)、そして地方連銀総裁のうちFOMC副議長のNYウイリアムス総裁(常時投票権あり)、他に持ち回りで今年担当の4名(バーキン・リッチモンド総裁、ボスティック・アトランタ総裁、デイリー・サンフランシスコ総裁、エバンス・シカゴ総裁)である。

さて、過去一週間は目まぐるしい展開であった。債務上限復活で今後の財政運営を懸念するドル売りで始まったが、先週金曜日の雇用統計を契機でドルは上昇、市場の空気は一変した。雇用統計の先行指標となるADPが発表した33万人の増加に対し、実際の発表は94.3万人!加えて前2か月の改訂を含めると106.2万人になり、昨年8月以来の大幅増となった。ドルは現在110.80円手前、約1か月ぶりのドル高円安である。この強さは今後発表になる、米経済指標、物価動向と、上記FOMCメンバーの発言に大きく左右されるだろう。

そこで、今後1週間の相場見通しは、ドル円は111円のトライがあると考え109.80~111.30円と予想。またユーロは、対ドルで先週より弱く1.1650~1.1850、対円では変わらず129.00~131.00円と予想。英ポンドは先週よりポンド安の1.3750~1.3950と予想する。

(注)米連邦準備銀行(FRB)の地方連銀の一つカンサスシティ連銀の主催する中央銀行シンポジウムのこと、毎年米国の避暑地の一つワイオミング州ジャクソンホール開催される。世界中の主なる中央銀行の関係者の他、政策当局者、学者なども出席、日本からも参加している。毎年タイトルを決めて議論しているが、今年のタイトルは「不均衡な経済におけるマクロ経済政策(Macroeconomic Policy in an Uneven Economy)」である。

(2021/8/11, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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