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為替大観

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第445回 ~相場秋の陣に控える二つのポリティカルイベント~

2021年08月18日

久しぶりに地政学的リスクがクローズアップされた。渋滞理論でいえば、事故渋滞と言えるイベント発生であった。今回はポリティカルエコノミー(政治が決める経済)の観点から、アフガン情勢と為替相場について考えてみたい。

現地15日(日本時間16日未明)アフガニスタン・ガニ大統領の国外逃亡の速報が入ってきた。「いよいよか!アフガニスタンの政変が確定的になった」と身構えた。タリバンによるアフガニスタン全土の制圧が進んできて、首都カブールまであとわずか、ということまで把握していたので、いずれ来るものとは思っていた。しかし、アメリカ政府も予想外のスピードによる侵攻であったと認めていたが、その速さは想定以上。改めてタリバンの組織力、軍事力に驚いた。

さてこれからどうなるか?政権交代が確実になったが、現在は無政府状態、このイベントの決着は全然ついていない。解決までいつまでかかるかわからない。中ソとの結びつきはどうなるか、軍隊撤退を決め、今回のタリバン侵攻を早めた当事者たるアメリカに、世界の指導力地位低下の烙印は押されるのか、諸外国の新政権認証は行われるか、国連の安全保障理事会はどう出るか等、不透明要因は数え上げたらきりがない。ただ、一番リスクとなることは、アフガニスタンが、イスラム原理主義や、テロの温床にまた戻ることである。アメリカとしては20年間の浪費(911の首謀者ビンラデンを殺害したことなど、決してそのようなことはないと主張しているが)に対して、どのような総括をするのかも、大きな論点となる。

限定的な一地域のこととは言え、他国へ波及していくかなども、先行き不透明であり、異常事態の発生であることは誰でもが認めるところ。為替市場では、さっそく反応がでた。リスクオフとして即応、有事のドル買い円買いとなった。ドルは、先週末のミシガンショックで92台半ばまで急落した分をかなり取り返し。93台まで回復した。ミシガンショックとは、ミシガン大学消費者信頼感指数が、予想比大きく下落したことが、米景気の後退を想定させたことでドルが急落したことである。

さて、その有事に強いドルの回復力であるが欧州通貨でみるとわかる。英ポンドは1.3717と約2か月ぶり安値となったが、ユーロは、欧州の景気低迷の要因も相まって1.17割れ寸前まで下落、約9か月ぶりの水準となった。また豪ドルは、0.7238とユーロと同じく約9か月ぶりの水準まで売られた。豪ドルは対円でも、79.25円まで低下、年初来安値まであとわずかのところまで下落している。これは円もドルと同じく強くなったことの表れである。

その円は週明け109.11円まで買われた。しかし、円はそこまで、ドルの強さと相殺され、翌日はドルの勢いに負けている。小売り売上高のマイナスや、米株価下落があっても、である。そこでドル円の相場展開を振り返ってみた。過去約6週間109.00円~110.60円で、しっかりレンジ相場を抜け出ていない。6月終わりから7月初めまで数日間111円台はあったものの、7/6以降111円を超えていない。強くも弱くもなれない状態である。これが動き出すのはいつか。

それが、来週末のジャクソンホールのFRBパウエル議長の講演であると筆者は予想している。ただその前に、19日に7月FOMCの議事録が公開される。テーパリングについて、どの程度、具体的な議論が進んでいたか注目される。今日まで、FRB理事や地方連銀総裁の発言がかなり出てきているので、7月FOMC時点からの進展がわかるだろう。来週のパウエル議長の講演の大きなヒントが浮き出てくるかもしれない。ただしこの段階で先走ってドル買いに進むのはリスクが大きいと思っている。ドル買いもドル売りも両サイド考えられるからである。

そこで、今後1週間の相場見通しは、ドル円はレンジの109.00~110.50円と予想。またユーロは、対ドルで先週と同じく1.1650~1.1850、対円では先週よりユーロ安の128.00~130.00円と予想。英ポンドは先週よりさらにポンド安の1.3675~1.3875と予想する。

(2021/8/18, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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