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為替大観

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第448回 ~ベア派の嘆き~

2021年09月08日

今米国市場では、ベア(弱気)派、特に株価の下落を予想している投資家が、予想と違う展開に戸惑っている。筆者の好きな米国の金融風刺画は、最近熊(ベア)が、悩んでいる絵を毎日のように描いている。

「ベア3人(?)が集まり、どの市場から攻めようか相談している図」、「相場の上昇は蜃気楼のようなものと、砂漠をとぼとぼと歩き続け、晴れている場所を探し続ける図」「手がなくなって、しばらく水面下に潜り、立ち泳ぎ(苦しくなってくることも思い起こさせる)でガマンの図」で、いずれも主人公はベアである。ブル派の心情も定期的に描いているので、作者はベア派であるとは思えないが、筆者はこれらを見て、米国市場に漂っている空気を感じている。株価の下落が発生した場合は、暴落に結びつく場面は必ず発生すると覚悟はしておいた方がよさそうだ。そしてその時はドルは大きく値を下げるのではないだろうか、と、、、。

ベア派の根底には、FRBのテーパリングを見込み、金利上昇が加わり、株価は下落するとの見通しが背景にある。ハト派基調であったパウエル議長ジャクソンホール講演に次いで、雇用統計のさえない雇用者数の発表と2週続けての景気後退を思わせる材料が出てきた。
テーパリングの開始時期は遅れるとの見通しも出て、特に先物を売っている投資家が思惑が外れ、損失ヘッジや損切に追い込まれているのではないだろうか。一部には、いずれ来るのだからと、いわゆるお蔵入り「しばらくガマン」という声も聞こえている。

先週末の米雇用統計で予想(73.3万人)にはるかに及ばない23.5万人という雇用者増加となり、ドルは下落、この一週間でドルの最安値を付けた。ドルインデックス(DX)では91.947とほぼ1か月ぶりの安値、個別通貨でも、ドル円(安値109.56円)はじめ、対ユーロ(米ドル安値1.1909)、対英ポンド(同1.3892)、豪ドル(同0.7478)と、9月3日は米ドル全面安の様相となった。米景気回復はピークアウトした、と言えないまでも、回復ペースの鈍化は間違いないとの見方から金利は低下し、つれて株価も上昇した。

しかし、今週に入り、雇用統計の内容を吟味すると、失業率の低下、時間当たりの賃金の増加、労働時間の増加など、決して悲観すべきではない、また、失業保険の追加支給も今月で終了、来月の発表分から雇用者の増加傾向は強まるとの見方が加わり、ドルの見直し買いが入ってきた。ドル円は今日、110.45円まで上昇、8月12日以来約1か月ぶりの高値を付けた。

さて、明日9日には、ECB理事会が開催される。現在、以前からあるAPP(資産買い入れプログラム)に加え、PEPP(パンデミック緊急資産買い入れプログラム)を通じて、多額の資金供給を実行中である。しかし、最近の物価高やワクチン効果から経済回復の兆しがみられるとの判断から、一部のメンバーからECB版テーパリングの検討を開始すべきとの発言が出てきたことは注目される。

特にPEPPは2022年3月までの期限付き、6か月前になる今回の理事会には、延長方針が議論されることは想像に難くない。総額で1.85兆ユーロの枠があるが、春に購入ベースの引き上げを決め、現在、毎月800憶ユーロをめどに買入(資金供給)を進めている。9月3日のECBの資産総額は8.2兆ユーロ(2020年末残は6.98兆ユーロ)で、内PEPPの残高は1.34兆ユーロで、残り7カ月で、0.51兆ユーロの枠がある。計算上は毎月約728億ユーロで、目標まで到達することになる。4月以降の毎月購入額(単位:10億ユーロ)は74、77、91、93となっているが、8月は72と減額している。

これまでの購入ペースを維持するためには、購入枠の増額が必要になり、変更がなければ、毎月の購入額を約50に減額しなければならない。すでにテーパリングに近い操作を行っているのかもしれない。ちなみにユーロ圏の消費者物価(コア年率)は8月は+1.6%と前月から0.7%上昇した。まだインフレターゲット(2%)には届かないが、上昇傾向が続いてくれば、ECBのテーパリングも現実性を増してくる。とすればユーロ買い/ドル売りとなり、円もつれ高になる可能性もあると考えている。

今後1週間の相場見通しは、ドル円は先週と同じ109.50~110.80円と予想。またユーロは、ECB理事会で緩和政策の微調整が示唆されると予想して対ドルで先週よりユーロ高の1.1750~1.1950、対円でも130.00~132.00円とユーロ高を予想。英ポンドは先週と同じ1.3675~1.3875と予想する。

(2021/9/8, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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