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為替大観

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第459回 ~パウエルの目~

2021年12月01日

先週末に突然起こった、いわゆる“オミクロン”ショックは、これこそ晴天の霹靂であった。特に株式市場は、本格的にベア市場に入っていくのでないかと思わせるような大幅な下落相場となった。底打ちがあってもダマシのように、また売ってくる。この動きはなんだ? と思っていたら、「そうだ、NY支店で為替ディーリングで繰り返し遭遇したパターンだ!!」と気がついた。思い起こせば、過去何回も見たような景色である。これは狩猟民族の生き残り戦だ、と。

為替市場にも同様な値動きが見られた。ドル円は26日には約2円の大幅下落。29日には日中値動きは約1円あったが、終わってみればわずか12銭の小反発。そして昨日は再びドルは売られ、10月11日以来となる112.53円までドル安円高となった。そして今日は現在はドルの小幅高と目まぐるしい動きが続いている。米国債券市場も10年債利回りは1.50%を挟み上下動を繰り返している。これではどの市場とも確たる先行きが見えない、いわゆる木は見えても森全体の大きさが見えない、という状態だ。こんな時はどうすればよいか?

と考えていたら、思いがけずに、米国からパウエルFRB議長の発言が流れてきた。あらかじめ予定されていたものだが、その場は上院銀行住宅都市委員会(Committee on Banking, Housing, and Urban Affairs, U.S.Senate)で、コロナウイルスに関する公聴会であった。発言要旨が伝わると、ドル円は1円以上も一気に上昇し、113.90円近くまで買われた。オミクロン変異株による経済活動の縮小で、テーパリング金額の削減や、利上げが遠のくのではないかという思惑が出ていた時だったので、その発言を聞いて、ドル売りは早まったかもしれないと考えた参加者があわてて買戻しを行ったようだ。

パウエル氏の発言は「次回のFOMC(12/14-15)で、資産購入削減ペースを速め、数か月早期に終了する是非を議論するのは適切だと考える」であった。また物価上昇について「一過性という言葉をやめ、もっと的確に説明することを考えたい」とも発言。新型コロナ対策となる非常事態緩和から正常化へ進むパウエル議長の確たる姿勢が市場に好感された。しかし一方で株式市場ではその言葉は逆に作用し、金利上昇が早まる可能性があると受け取られて、株価の続落をもたらした。

そしてパウエル議長の発言の中で、また、興味深い箇所があった。それは「労働参加率が伸び悩んでいることに意外感がある。労働供給の大幅な増加があると考えていたがそうなっていない」という点である。明後日3日に11月雇用統計が発表になるが、少しでもパウエル議長と同じ目で統計データを見るために、そのポイントを整理すると、
①非農業部門雇用者数(合計と産業別)、②人種別失業率、③労働参加率、④平均受給伸び率、が特に注目したい項目である。

①はパンデミックで落ち込んだ数をどれだけ回復しているか、である。米労働省の発表によれば(以下同じ)、パンデミック前の雇用者数は1億5,252万人であったが、そのうち減少者数は2,236万人で、先月まで1,820万人が回復している。回復率が81.4%で、不足分が約420万人、これが労働市場にに戻っていない人数ということになる。今年の雇用者数月別平均増加数58.2万人で計算すると、減少した数を充足するためには7カ月超かかることになる。今日現在の市場予想数字は54~55万人(先月は53.1万人)だが、先週発表になった新規失業保険申請件数が19.9万人と、何と1969年11月15日以来52年ぶりの低水準となったことは朗報だ。驚きで迎えられ、労働人口が増えるとの期待を呼ぶ。

次に②失業率全体の予想は4.5%(前月は4.6%)である。ちなみに、パウエル氏が気にしていると伝えられている人種別失業率(カッコ内は③労働参加率)は、White 4.0%(61.5%)、Black/African 7.9%(61.1%)、Asian 4.2%(65.2%)、Hispanic/latino 5.9%(65.7%)であり、これらの偏りがどの程度縮小していくかも重要だ。なお全体の労働参加率は、パンデミック前の2020年2月が63.3%、直後の4月は60.2%に落ち、現在2021年10月は61.6%となっている。

さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は112.80~114.50円と予想。一方ユーロは、対ドルは1.1200~1.1400、対円では128.00~130.00円とユーロ高を予想。英ポンドは先週と同じく1.3250~1.3450とを予想する。

(2021/12/1, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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