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第468回 ~今月は米国経済指標とFRB関係者発言に注目~

2022年02月02日

パウエル議長は、先週のFOMCでQTへの早期転換を公式に言明した。QTとは、一般的には量的引き締め(Quantitative Tightening)のことであるが、今回の発言はもはや政策の速攻転換(Quick Turnover)そのものである。それほどまでに引き締めを急いだとの印象であった。筆者は先週の当コラムで、「株の下落をさらに誘引するような、タカ派発言(引き締めの強化)はないだろう」と予想していたし、市場にもそこまで大幅な転換を図るという緊迫感は感じられなかった。それが見事に覆された結果となった。

証券購入減額の3月終了が確認され、3月の利上げはこれでほぼ確定、パウエル議長の発言を受けて、0.50%利上げの可能性も高まった。合わせて、これが重要ポイントであるが、一気に資産残高の縮小(FOMCの正式表現では、「Normalisation、正常化」)の早期開始まで示唆した。詳細は次回FOMC(3月15-16日)で議論するとの発言はあったが、なるべく早く実施するとの決意を感じた。早ければ3月決定、4月開始もあり得る。前回(2014年)の残高縮小はテーパリングが終了してから3年後であったことを考えると、今回の引き締め転換がいかに速いかがわかる。債券市場ではこれまで購入していた証券の売り戻しとなることで、債券相場の下落(=利回り上昇)の思惑が拡大し、10年国債利回りも1.90%直前まで上昇した。

為替市場では、この結果を受けてドル買いで反応、ドル全面高となった。ドルインデックスは29日には97.441まで上昇、ほぼ1年半ぶりの高値となり、ユーロは1.1121と同じく1年半ぶりの安値となった。ドル円は年初来高値(116.35円)には届かなかったが18日ぶりに115.69円まで買われた。しかしドル高はそこまで。その後は一転してドルは反落、ドル円は今日まで4日続落(執筆時点では114.55円、以下同じ)、ユーロも1.1287と1.13台乗せ直前まで盛り返している。ドル金利は、10年国債利回りが1.778%まで低下してきた

ところで、パウエル議長の発言で、心のうちが読める言葉遣いを指摘するコメントがあった。それは「Decision(決定)」の使い方である。全部で15回使われ、うち14回は“No decision has been made” (まだ決定しない)であり、1回だけ決定したと言った内容は「12月FOMCで3月以降証券は買わない」ということであったという。パウエル議長は何か焦っているのではないか、との見方も出るほどだが、再びパウエル議長の心のうちを読んでみた。

任期は今月5日から2期目に入ることが決定しており、焦ることは何もない。そこで勘ぐるのが、バイデン大統領への援護射撃である。政治からの独立性の観点では、政治の圧力は受けることはならず、議長の立場でインフレの早期解消を望む政治を考慮する必要はないはずである。パウエル議長としては決まってないことを発言する必要はないので、このような発言があったことは、「検討している感」を出すためか、と考えてしまう。

どちらにしても、FRBに不信感が出た恐れもあり、金融市場ではFOMC後に相場は反転の勢いを強めている。昨日は地方連銀総裁からパウエル議長発言の軌道修正ともいえる発言が出てきた。3月利上げは容認できるが、0.50%利上げは支持しないとの意見が目立った。ただ、次回FOMCまで、当局からの発言で相場が左右される展開は続くとみられるので、「メインシナリオは3月に0.25%利上げ、BS縮小も早期実施を決定」と考え、この線からの違いが出るかどうか注意が必要である。

さて、明日ECB(欧州中央銀行),BOE(英国の中央銀行)の政策決定理事会が開催されるが、ECBは4月以降の証券購入政策、BOEは2回目の利上げが為されるか、注視したい。一方米国では、今月は経済指標が大きな変動要因になる。今週金曜日(2/4)は雇用統計発表の日だ。予想は、非農業部門雇用者数は17.5万人(先月19.9万人)、失業率は先月(3.9%)から横ばいとなっている。

今後1週間の相場レンジ予想は、ドル円は、113.25~115.25円、一方ユーロは、対ドルは1.1100~1.1350、対円では127.50~129.50円、英ポンドは1.3350~1.3550と、いずれも先週と同じと予想する。

(2022/2/2, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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