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第471回 ~パウエル証言に注目~

2022年03月02日

2022年2月24日。市場で大変動が始まった日として、歴史に残ることとなろう。2020年春に発生した新型コロナの急激な落ち込みもV字回復したうえで、さらなる成長を目指していた矢先である。技術革新を背景にした世界的な成長を基に、これまで株価の上昇が続いてきたが、戦争という大きな障害が立ちはだかってきた。今までの楽観的な見方を、大きく変えなければならない時が来たと感じている。

通貨も大きく変動した。下がったところでは、「買いたい」との誘いの声が聞こえてくる。また原油、金、暗号通貨など、急激な上げを見せる商品もある。しかしここは安易に手を出してはいけないと考えている。今回のような市場の変わり目では、市場規模が膨らんできた今は、予想以上に相場が動く。

例えばロシアがウクライナ侵攻を開始したニュースが伝わった2月24日には、ユーロは一日で200ポイント(約1.8%)、ポンドは270ポイント(約2%)下落した。その流れが、原油市場(WTI)にも表れている。供給不足の影響は大きい。24日には一時は9ドル(変動幅は約9%)も跳ね上がった。昨日3月1日には10%(10ドル)も上昇した。今日は111ドル半ばまで上昇、約8年半ぶりの高値を付け、上げ止まる気配はない。

一方で、こんな時だからこそ、長期的運用方法の一環として、資産積み上げのチャンスとする戦略も考え得る。他に虫の目ディール(相場に張り付き、損切/利食いラインを決め、極超短期にポジション操作を行う取引)に徹していく体制が取れるのであれば、市場参入の余地があるかもしれない。いずれにしても、今回の戦争の帰結、相場固めが見えないうちは、慎重に成り行きを見て、解決時期が見え、市場が平常に戻るまで待ちたい。

ここまでは一人目のP(Putin)の話だが、今月はもう一人のP(Powell)にも注目しなければならない。今日明日と議会証言がある。既に発表原稿は明らかになっており、3月からの利上げ開始は市場に織り込み済みであるが、質疑応答にパウエル議長の本音が表れるはずだ。3月の利上げ幅に見方が分かれている。

ウクライナ侵攻前は、0.50%の利上げ優勢であったが、現在は0.25%となる確率が高まっている。CME(シカゴマーカンタイル市場)が発表している予想幅も大きく変化している。例えば、0.50%利上げ確率は、2/8(2月8日)→2/22→3/1で、24.0%→41.1%→8.5%と変化している。この状態を、どのような表現で利上げ幅を示唆するか注目したい。市場は残り7回のFOMCすべてに利上げを実施、年末は1.50-1.75%になるとの見方がある。短期金利差でいえばドル金利上昇は日米金利差拡大→ドル上昇となるが、一方で、米ドル金利のイールドカーブがフラット化していることで、景気後退論も浮上してきたことから、ドル高は続かないとの見方にもなる。(筆者はこの立場)

さて、今後1週間の相場レンジ予想であるが、今週末の雇用統計は予想(非農業部門雇用者数で、+40万人、先月は+46.7万人、失業率3.9%、先月は4.0%)に比べ、よほど大幅な差がなければ、ドル円は、ややドル安の114.00~116.00円、一方ユーロは、対ドルで1.1000~1.1250、対円では126.50~128.50円とユーロ安を予想、英ポンドも1.3200~1.3450とポンド安と予想する。

(2022/3/2, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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