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為替大観

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第473回 ~円安は止まらない~

2022年03月16日

この1週間、5年2か月ぶりに118.45円となった円安の進行が、為替市場における一番の大きなニュースだ。先週の米消費者物価上昇の発表を受けて、FOMCを控えて利上げ確実との確認で、米10年債利回りが2%台にのせ、ドル円は急上昇となった。いよいよドル上昇サイクルが再スタートである。これまでの相場動向を見れば、118-119台は比較的相場の空白地帯なので、早ければ4月中にも120円に達すると予想するが、このスピードを左右するのが、商品市場(特に原油相場)の値動きと、中央銀行、特にFRBの引き締め度合いである。

今週は、中央銀行ウィークだ。いずれも方向性は、市場に織り込み済みとなっており、予想と大きく違わなければ、一旦は材料出尽くしの相場展開も予想される。今日は、米国FOMCで金融政策が決定される。既にFRBのパウエル議長は、0.25%の利上げを提案すると、今月初めの議会証言で明言している。一時は、物価上昇の勢いが強いため一気に0.50%の利上げもあり得るとの見方も出ていたが、ロシアーウクライナ戦況の激化で、市場への更なる混乱を避けるために、今では0.25% の利上げ幅で集約している。

そこで今回の焦点として、筆者は次のように見ている。

①パウエル議長の提案に対し、投票権のある他のメンバーがどのような反応を示すか。すなわち、0.25%利上げが何人で、他に違う案が出るとすれば、利上げ幅やその同調者が何人になるか、である。今後の利上げ回数や利上げ幅を占う指標になる。

②次にQT(バランスシート削減)の開始時期と引き下げ金額である。ロシアのウクライナ侵攻開始までは、利上げと同時にQTも開始し、月100億ドルにて開始との見方があった。しかし今では少し後ろ倒しになるとの予想が強くなってきた。これらは次回(5月)以降のFOMCの予想に影響する。さてどう出るか?

③今回はドットチャート(DC)と、経済見通しが発表になる。DCとは、今後2-3年と長期のフェドファンド誘導金利についてFOMCメンバー 一人一人の見通しを点(ドット)で表しているので、このように呼ばれる。毎年3,6,9,12月に発表されるが、これまでも利上げが進んでいくことが示されてきたが、前回には、2022年、2023年とも3回程度の引き上げと大幅な変更が示された。今回これがどのような変化となるか、市場の注目度は高い。

④そして経済見通しである、経済(GDP)成長率、失業率、物価と、それぞれの見通しが発表される。ウクライナ情勢が、景気、労働環境、物価動向にどのような影響を与えると見ているか明らかにされるので、こちらも同時に注目したい。ちなみに、前回(昨年12月会合)の見通しは、2022年、2023年の順(以下同じ)で、GDP成長率は+3.6~+4.5%、+2.0~+2.5%、失業率が3.4~3.7%、3.2~3.6%。ただ物価(PCE個人消費支出価格指数、コア)は、+2.5~+3.0%、+2.1~+2.4%とかなり低い。かなり上方修正してくるのではないかと予想している

17日にはBOE(英国中央銀行)の会合があり、次いで日銀の政策決定会合が17-18日と続く。BOE(現在の0.5%)については、インフレ率+5.5%と高く、前回(2/4)に続いて0.25%引き上げて、0.75%とするとの予想が多い。一方日銀は、物価上昇の兆しは見えるものの、ウクライナ情勢に対する不安定感もあり、今回は特に変更なしと予想している。展望レポートを発表する4月(27-28日)に新しい方向性を出すのではないかと予想している。まん延防止措置の撤廃後の経済情勢や物価動向の変化も明らかになるからである。今回の注目点は、円安進行に対する黒田総裁の見解だ。警戒感が表れされるようであれば、一旦円高に振れる場面はあろう。

さて、今後1週間の相場レンジ予想であるが、ドル円は、基調ドル高も一休みで115.80~118.50円、一方ユーロは、対ドルで先週と変わらず1.0750~1.1050、対円では128.00~131.00円とユーロ高円安を予想、英ポンドは1.3000割れが焦点になるが、17日の理事会での利上げ見込みが下支えになってポンド1.3000~1.3300と予想する。

(2022/3/16, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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