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第475回 ~調整はあっても円安は終わらず~

2022年03月30日

125.10円までの円売りスピードは行き過ぎ、筆者の結論である。短期(21日)移動平均線からの乖離幅が6%と経験的にもかなりの大幅となったことで、揺り戻しはいつあってもおかしくなかった。問題は、これで円安は終わりなのか? あるいは、これが更なる円安―例えば130円―への導火線になるのか? である。

そこで筆者の考えは後者、すなわち円安進行は今後も続く、である。ただそれは今すぐでなく、3~6か月後との見通しである。円安がまだ終わらないと考える第1のポイントは、今回の円安は日本の構造的な問題(低成長、超緩和政策、貿易赤字拡大)で起こったことと考えるからである。単なる投機、あるいは短期プレーだけだったのではない、との見方である。

第2は、前記1との関連であるが、円が全面安であったことである。先週より更に円安水準が進み、3月28日に125.10円を付けた時は、主要通貨だけでなく、中国、香港、シンガポールなどアジア通貨に対しても2015年5月~8月以来の円安水準になっている。カナダドル円は、2015年6月以来の100円超え。また豪ドル円も気が付けば95円目前、60円と100円の間で上下する経験則に則れば、100円到達は必然との思いになる。

ところで、2015年に何があったか、それは以下イ)からハ)のとおりである。完全な円高転換になるために、今回相当するイベントはロシア・ウクライナ戦争であろうが、2015年に起こったチャイナショック(下記ハ)のようなリスクオフの円買いにはならないと考えている。

そこで、2015年の円安要因は以下の通りであった。
イ)日銀が2014年10月に量的金融緩和第2弾を決め、その後円売りが加速、同年11月の112.50円から同年12月には2007年7月以来の121.70円までドル上昇(8.2%の円下落)となった。今とよく似ている。そして2015年6月には125.86円と2002年6月以来13年ぶりの円安となった。
ロ)一方米国では、景気回復が進み、2014年10月にテーパリングが終了。2015年には米金利上昇で日米金利差の拡大が始まり、また、FRBの利上げ期待が高まっていったことでドルが上昇していた。(結果は、2015年12月に0.25%引き上げ、2008年12月から続いていたゼロ金利政策は終止符が打たれた)
ハ)円安が終了したのは、黒田日銀総裁の円安けん制発言(2015年6月)であり、その後発生したチャイナショック(中国株の大暴落)によるリスクオフの円買い発生であった。

第3は、アノマリー的なことであるが筆者の考える振り子論である。これは、反転した後の終着点(=振り子の出発点)は、振れ始めの最初のポイントに戻るというものだ。筆者の計算では115.80円近辺になる。しかし、それはいきなり戻るのではなく、行ったり来たりで徐々に出発点に戻るというものだ。しかしこのまま一直線に戻るのは、125.10円がバブル破裂とみなされるケースである。いわゆるエッフェル・エフェクト(パリのエッフェル塔の形)と呼ばれるものだが、今回の円安進行の傾斜が、125.10円で終われば、それに近い形になる。しかしこの後途中で止まり、再びドル高円安に戻れば、エッフェルエフェクトは崩れる。そのための止まる(あくまでも筆者の考える)ポイントは、フィボナッチで計算すると、121.10円(38.2%)、119.80円(半値)となる。

今週末は、米国の雇用統計が発表される。FRBの重要指標は物価指数と雇用動向であり、好調を表す結果となれば、5月のFOMCで0.5%の利上げを正当化する重要な指標となる。現在の市場見通しは非農業部門雇用者数が+49万人(前月は+67.8万人)、失業率は3.7%(前月は3.8%)、平均時給は+5.5%(前月+5.1%)である。

さて、今後1週間の相場レンジ予想であるが、ドル円は、調整を終えてドル高基調推移で119.80~123.00円、一方ユーロは、対ドルで1.0950~1.1250と小幅ユーロ高、対円では先週と同じ131.00~134.00円と予想、英ポンドは1.3000~1.3300とポンド安と予想する。

(2022/3/30, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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