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第476回 ~円安への算式~

2022年04月06日

円売り再燃。125.10円を付けた後、早すぎる円安に対する調整は、決算期末3月31日までの3日間で終わり、新年度明けの4月1日の寄り付きは121.75円。ここを円高値にして円売りが進行、米雇用統計でさらに円売りに火が着き、123円台に乗せた。その後今日まで3日間、円は続落、再び125円に向けて円売りに勢いが出てきた。

改めて、円売りに対する見方を整理してみたい。今の円売り要因を算式で表すと、「(1)ドル高要因+(2)円売り要因±(3)日米当局の円安けん制に対する姿勢=128円」となる。
(1)については、改めて説明することもないが、主因は日米金利差の拡大である。米10年債利回りは3月31日の2.345%を底に4月に入って連日上昇、今日の時間外(米国朝4時現在)で、2.631%まで上昇している。2019年3月以来3年ぶりの高値だ。

その間日本はと言えば、3月31日は0.219% 、今日4月6日は0.235%であった。金利は上昇しているとはいえ、米国に比べたら一桁違う。米ドルへの資金流出は自然の流れである。昨日のブレイナードFRB理事の発言(資産残高の早期減額示唆)も大きい。金利上昇にさらに油を注いだ形だ。

また、経済力格差も大きい。先週末に発表になった米雇用統計がその例だ。予想以上に好数字、米国経済活動の活発さを裏付けた。失業率は3.6%と、新型コロナ発生後2020年3月以降の最低水準(2020年2月は3.5%)となり、労働参加率も62.4%とコロナ以降最高水準となった。加えて非農業部門雇用者数は+43.1万人で、予想(+49万人)より少なかったが、直前2か月の改定値を入れると+52.6万人となり、予想を上回ったことになる。合わせて、平均時給の伸び率も年率+5.6%と予想(+5.5%)を超え、早期引き締めを正当化する材料になっている。

(2)については、大きな要因として経常収支の赤字化である。エネルギー(特に原油)、食料価格の急騰による貿易赤字の拡大化が円売り材料の大きな要因になっているが、その赤字傾向が経常収支にまで広がってきたことが懸念材料である。財務省の発表によれば、1月の経常収支は、マイナス1兆1,887億円と2か月連続の赤字で、かつ過去2番目の赤字幅であった。貿易赤字の増加がその主因であるが、世界的な物価高騰が治まる気配がない状態では、結果として経常収支の赤字基調が続く可能性が高い。今後は世界的な物価動向をフォローしてことが重要だ。

そして(3)であるが、わかりやすく言えば、ドル売り/円買い介入があるかどうかである。直近で言えば、介入の司令官である、財務省神田財務官の発言から読み取ることができる。本当に久方ぶりに財務官の存在感を感じた。「オッ!円安けん制か!?」と身構えたが、内容は、かえって円安容認とも取れるもの。介入には、米国側の了解が必要。米国のインフレ上昇で、物価低下をもたらすためにドル高は有効。特に今の段階で米ドルを引き下げる必要はないはず。「日米で緊密な意思疎通」ということは、まだ具体的なことは話し合っていないということ。ただ、今後の言葉には、常に注意を図る必要がある(G7後については次回解説したい)。

さて、今後1週間の相場レンジ予想であるが、ドル円は、調整を終えてドル高再燃で122.80~125.80円、一方ユーロは、ウクライナ情勢悪化懸念にて対ドルで1.0780~1.1080とユーロ安更新、1.0800割れとなれば2020年5月中旬以来ユーロ安となるが、1.0760に強い抵抗線があるので、ユーロ続落とはならないと予想する。また対円では133.00~136.00円と予想。そして、英ポンドは1.2980~1.3180とポンド安を予想するが、1.3000割れは2020年11月となり、割れても瞬間で、また1.3000台に戻ると予想する

(2022/4/6, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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