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第485回 ~続く米国独り勝ち~

2022年06月15日

先週の二つのイベント(ECB理事会、米CPI)を乗り越えて、いよいよ今日はFOMCの結果が発表になる。ポイントはただ一つ。政策金利(フェデラルファンドレート、現行は0.75-1.00%)の利上げ幅である。

その内訳は、イ)今回の利上げ幅、そしてロ)今後の見通しとして、2022年末まで、また2023以降どこまで上がるか、そして中立金利をいくらに考えているか、である。ロ)については、今回同時に発表されるいわゆるドットチャートと、会合終了後にパウエル議長が行う記者会見でのやり取りで読み解くことができる。声明の発表は、日本時間で明日16日未明の午前3時、記者会見は同午前3時半に始まる(ライブ中継もあり)。数字によっては為替相場が大きく動くことになるので、明日は朝早くから振れ幅が大きくなる可能性がある。

そこで、事前に頭に入れておきたいことは、市場予想である。上記イ)について、予想は0.75%の利上げである。先週の米消費者物価(CPI)が発表されて以来、急速に拡大した。シカゴ商品取引所(CME)で計算されているFEDウオッチによれば、昨日現在99.9%が0.75%利上げを示している(0.50%利上げはわずか0.1%だけ)。1週間前の0.75%利上げ予想が3.9%、0.5%利上げ予想が96.1%であったことを考えると、天地がひっくりかえったような変化である。それだけ物価上昇の勢いが止まらないことに、危機感が表れているということになる。

そこで、米CPI(5月)だが、総合指数が前月比が+1.0%(予想+0.7%)、年率が+8.6%(予想+8.3%)、コア指数が前月比で+0.6%(予想+0.5%)、年率が+6.0%(予想+5.9%)と、いずれも予想を超えた。総合指数年率は、3月の+8.5%を上回り、上げ幅の記録を更新し、1981年12月(+8.9%)以来の伸び率となった。大方は、「えっー! 先月低下したので物価上昇もピークを迎えたかと思っていたのに、反対に上昇したのか! これは大変だ!!」と市場は一斉に債券売りで反応、金利は上昇、ドル高に結びついた。

そして為替市場では、ドルインデックス相場が105.652と、2002/12以来のドル高となっている中、ドル円も買われ、昨日は135.58円まで上昇し、1998/7以来とほぼ24年ぶりのドル高円安となった。一方ユーロは一時1.0397まで下落し、1.0349を割ると、2017/1以来のユーロ安となり、1.0340を割るとパリティとなった2002/12以来の大幅ユーロ安となる。

また英ポンドも同様に下げ幅を広げている、6月8日から昨日まで5日間(合計で655ポイント)連続して下げ、一時1.20を割り、1.1934と2020/3以来のポンド安となった。今日は、1.21台近くまで反発しているが、英国も景気後退や、高いインフレ上昇率、そしてスコットランド問題も絡み、なかなかポンド上げの材料が見つからない。そのような状況の中で16日には英国中央銀行(BOE、バンク・オブ・イングランド)の政策決定会合が開催される。利上げは間違いないところだが、米国のように0.5%幅は難しいとの見方があり、利上げがポンド浮揚に結びつくかは不明だ。

この最中、「本日、欧州中央銀行が予定外の理事会開催」とのニュースが流れてきた。「最新の債券市場の続落について議論するため」とアナウンスがあったが、金利上昇によるユーロ諸国の財政コスト急増への対応として、新たな金融政策が発表になる可能性があると期待され、ユーロは一瞬小幅上昇した。こちらからも今日は目が離せない。

さて、今後1週間の予想レンジは、ドル円は133.80~135.80円とドル高を予想する。一方ECBのサプライズ理事会はあるが、ユーロドルは1.0380~1.0780、対円でも141.00円~144.00円とユーロ軟調と予想する。またBOEが景気重視で利上げ幅を0.25%にすると想定し、英ポンドドルは1.1850-1.2250とポンド安継続と予想する。

(2022/6/15 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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