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市場養生訓

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第732回

2018年08月14日

 7はランキーナンバーだが、最近の為替市場では違う。不吉な番号だ。ドル人民元の7.0とドルトルコリラの7.0はそれを超えてしまうと、世界の不確実性が増す入口とされる。

 トルコリラは昨日7.0を超えたが、すぐに押し返された。直近は6.92水準で何とか踏ん張っている。

 ドルリラは先週金曜日には一時20%も下落するなどパニック状態だったが、為替市場での大幅な変動ですぐに思い出すのが、2015年1月のユーロスイスフランの下落だ。わずか20分程度で3割近く下がった。スイス中銀がユーロスイス1.20の下限レート(スイスフランの上限)を撤廃したからだ。

 トルコリラの下落は1週間で見ても30%近く、1年では半分近くの価値を失った。16%ほどの高いインフレ率、GDPの6%近い経常収支の赤字、通貨安と資本流出の悪循環などに陥りながら中央銀行が必要な利上げを必要な時にできない。権力強化した大統領が利上げを嫌うからだ。娘婿を財務大臣に任命し、リラの下落を外国の陰謀と非難する大統領の考えが変わらない限り、ドルやユーロの外貨債務を負う企業の倒産が増えるのは目に見えている。1年で債務が倍近くに増えるのだからやってられない。

 だが世界にとって問題はトルコリラや経済そのものではない。リラの下落が広範な通貨危機に波及するかどうかだ。

 波及ルートは二つある。一つはユーロだ。スペイン、イタリア、フランスなどユーロ圏の銀行はトルコの金融機関などへの債権を持つ。トルコで不良債権が増加すると金融機関の経営を圧迫する。となればユーロ圏の銀行のバランスシートへの悪影響は避けられない。イタリアなどの金融機関の問題を抱えるEUにとってさらなる問題の追加はユーロへの下落圧力に繋がる。

 ユーロスイスフランは今年4月に再び1.20に近づいたが、ユーロ圏の景気や金融政策への期待度が低下するに伴い、1.15方向へ戻った。そして今回のリラの一層の下落で1.13台へと下落した。1.10台に行く可能性がある。

 もう一つのルートは、新興市場国通貨全般への下落圧力だ。昨日は南アランドが一時的に10%近く下落するなど新興市場国通貨全般の危機に発展する様相を示した。これまでアルゼンチンペソ、ブラジルレアル、メキシコペソ、南アランドなど多くの新興市場国通貨が大幅な下落に見舞われた。だが全般的な通貨危機に波及しなかった。

 豊富な外貨準備、通貨スワップ網の整備、現地通貨建ての資本市場の発展などが通貨危機の波及を防いだ。その中でポイントになるのは中国と人民元の安定だ。人民元は新興国通貨のアンカーの役割を果たしてきた。だがその人民元が現在下落傾向にある。債務削減を目指してきた当局が、経済成長への配慮に力点を置き始めた。軌道修正だ。米中貿易戦争の出口が見えない中、その影響も計り難い。人民元が7.0を超えると新興市場国全般の通貨に対すれ下落圧力も増すに違いない。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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