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市場養生訓

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第624回

2016年06月07日

 マイナスの利回りの国債が世界で10兆ドルを超えた。これは世界の外貨準備高とほぼ同水準になる。欧州と日本のマイナス金利政策と中央銀行の長期国債の購入によるものだ。日本の国債の利回りはすでに10年までマイナスで、ドイツは7年までだが伸びていきそうだ。


 マイナス金利は異常事態で短期的との見方が導入時には多かったが、どうも長引きそうだ。米国が金融政策の正常化へ向けての出口戦略の先頭に立ち、日本などその他の国は米国に引っ張られる形で出口戦略を始める。こうした量的金融緩和政策を始めた頃の戦略は机上の空論と化したようだ。


 米国が他国を引っ張るというより、米国がマイナス金利の磁力に引っ張られる可能性も出てきた。フェデラルファンド先物レートが示すところによれば、先週の雇用統計後は6月の利上げの可能性はほぼゼロになった。7月の可能性も大幅に低下した。もっともイェレンをはじめFEDのメンバーが盛んに利上げの可能性を煽っていただけで元に戻っただけだ。


 6月のFEDの利上げの可能性がほとんどなくなった以上、市場の眼は6月のもう一つのビッグイベントに向けられる。


 英国のEU離脱を問う国民投票だ。ヘッジファンドや投資銀行は投票日の出口調査をやっていち早く結果を予測して大きなポジションを張るという話がある。簡単な出口調査の費用は8千万円程度らしいが、この金額でいち早く確度の高い予測が分かれば安いものだ。


 現時点の世論調査では拮抗しているが、これだけ長い間関心の的になっているイベントの場合、実需為替はとりあえず必要なリスクヘッジはしているし、投機為替はどちらかにポジションを傾けているのが普通だ。つまり現在のレートに結果はかなり織り込まれている。


 いずれにせよ調査会社に大枚を払って出口調査を依頼しない者が、早く結果を知るには投票日の早めの市場の動きに注目することだ。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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