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市場養生訓

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第628回

2016年07月05日

 世界の外貨準備の今年第一四半期末の通貨構成がIMFから発表された。ここから読み取れるポイントは次の5つだ。


 1.ドルの割合(63.59%)の上昇傾向は止まり、減少傾向に入った。これはFEDの利上げの頻度や可能性に対する市場の見方が減少したことを反映している。


 2.ユーロの割合(20.37%)の減少傾向は昨年末がボトムで、今年になって戻した。これはドルからの資金のシフトと見られる。ドルの受け皿としてのユーロの役割は依然として保たれている。


 3.ポンドは昨年に従来よりも1%近く割合を増やしたが、その傾向は今年になっても続いている。4.79%。BREXITの影響が反映されるのは第三四半期まで待たなければならないが、1%以上は減少している可能性が高い。


 4.円の割合(4.08%)は変化がない。この時期円高が進み、海外の国債保有も増えている。にもかかわらず円の割合に変化がないのは不思議だが、考えられるのは、リスクオフトレードによる円買いは短期的であることだ。短期債を中心に流動資産としての円資産の需要であり、中長期的なポートフォリオに組み入れられた資産ではないことだ。その主役はヘッジファンドなどの投機資金だ。


 5.その他通貨の割合(3.04%)も昨年に比べてほとんど変化していない。昨年後半に人民元がSDR(IMF特別引き出し権)の構成通貨に組み入れられることが決定したが、その時にIMFの幹部は人民元の外貨準備通貨や決済通貨としての役割を強調したが、世界の外貨準備のファンドマネージャーは人民元を増やす判断はしなかったようだ。人民元のSDR組み入れが現実と遊離した政治的な判断だったかがわかる。


 人民元は今年第四四半期からドルや円などと同様に個別通貨として分類されることになっているので、より正確な割合が分かるが、現状ではその他通貨の大半としてもせいぜい2%台前半程度と推計される。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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