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市場養生訓

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第631回

2016年07月26日

 HSBCの為替部門の幹部クラスのディーラーが先週、ニューヨークで逮捕され、彼の部下(すでにHSBCは退職)には逮捕状が出された。米国の司法当局は二人のディーラーが2011年に顧客の取引を悪用して8百万ドルの不正な利益を上げたとして告発した。


 ロンドンのフィクシングレートを巡る不正取引では、いくつかの欧米の有力銀行はHSBCを含めて既に100億ドル以上の巨額な罰金を払わされているし、多くのディーラーや為替部門の責任者が解雇や停職などの処分を受けた。


 だが今回の二人の件はHSBCの内部調査では問題なしとの判断がなされていた。その点では米司法当局と世界有数の銀行との判断が全く異なることになった。


 この取引は英国の石油、ガス会社がインドの子会社の株の売却代金35億ドルをポンドに換える取引だ。HSBCはロンドン市場でのフィクシングレートで値決めをすることで顧客と合意した。


 35億ドル相当のポンドを買うとすればフィクシングレートが決まるある程度前から部分的にカバー取引をするのは普通だ。フィクシングレートが決まってからポンドを買いだしても全額一定のレートで買えないからだ。レートが上がればディーラーのロスになってしまう。


 ところが米当局はこうした取引が顧客情報を利用して自己の利益を上げる不正行為とみなした。フィクシングレートはHSBCの事前の買いで上昇して高い値で決まった。顧客にしてみれば高い値でポンドを買わされたことになる。


 両者の言い分はそれぞれでいろんな見解があるだろうが、今後為替ディーラーが委縮しないために、つまり為替市場の発展が阻害されないためには2つの点がポイントだ。


 一つは、マーケットメーカーの役割と機能に関してマーケットユーザーが理解することだ。市場にはいつでも当たり前のように値があるわけではなく、マーケットメーカーが取引をすることで市場が成立する。それには人材やインフラにコストもかかるのである程度の収益や損失の回避は認める必要がある。前もってカバー取引をすることがすべて悪ではない。


  もう一つは、銀行のディーラーの倫理だ。今回の35億ドルの取引で8百万ドルのもうけはやりすぎだ。事前の自己ポジションでは3百万ドルで後の5百万ドルはこの取引の手数料などのようだが、いずれにしても利益の取り過ぎだ。それにポンドの値が上昇した理由はロシアの銀行が買ったからだとの顧客に対する説明は相手が市場を知らないと見ての思い上がりだ。


 取れるところから容赦なく取るというカルチャーはインセンティブボーナスの拡大とともに広がってきた。そこで倫理観の乏しいディーラーが輩出した。


  その点ではボーナス制度の抜本的な改革が急務だ。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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