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市場養生訓

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第636回

2016年08月30日

 市場、と言っても株式、債券、資金、商品、為替などいろいろある。それぞれ専門の市場参加者がいて、彼らの売買を通じて市場が形成される。市場の見方では、との言い回しはよく使われるが一括りには言い切れない場合があっても不思議ではない。

 先週の注目イベント、ジャクソンホールでの中央銀行のシンポジュウムに対して市場は9月の利上げの可能性を探った。先週複数のFOMCメンバーが9月利上げの可能性について言及したことから、イェレン議長の講演もその文脈でとらえようとした。

 株式市場や外為市場ではその傾向が強かった。しかし債券や、資金市場ではそれほどでもなかった。

 肝心のフェドファンドの先物レートから推計される9月利上げの可能性は、昨日時点で21%、その前日が33%だったから、むしろ利上げの可能性は低下した。12月になってようやく約半数が0.25%の利上げの可能性を見ている。

 一方でFOMCのメンバーは過半数が年内のFF金利を0.75%-1%が適当と見ている。0.25%の利上げとすれば年内に2回だ。年内利上げなしとの見方は金利の市場では半数いるが、FOMCメンバーでは誰もない。

 金利の市場とFOMCメンバーとの金利についての見方の相違は昨年12月の利上げの時から続いている。そしてこれまでは市場の見方の方が現実に即していたにもかかわらず、今回のシンポジュウムで金融政策のベースになる指標の見方を変えるとか、金融政策の方法を再検討するとの議論はほとんどなかった。インフレ率の目標を上げるとの議論も盛り上がらなかった。

 その点では2010年のバーナンキがQE2を示唆したときのジャクソンホールでの講演がもたらした市場の熱気とFEDに対する信頼とはかけ離れた今年のシンポジュウムであった。

 FEDは斜めに見ているくらいがちょうどいい。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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