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市場養生訓

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第640回

2016年10月04日

 IMFが今年第二四半期末の世界の外貨準備の通貨別構成を明らかにした。
 そこから読み取れるポイントを列挙する。

1.昨年は増加傾向にあったドルの割合が今年は減少傾向が続いている。これはFEDの利上げ時期が先延ばしになったことや経済の長期停滞論が根強いことなどが背景にある。この傾向は続き、63.39%の割合は第三四半期にはさらに低下したと思われる。加えて、サウジアラビアに対する訴訟を議会が認めたため、サウジアラビアの米国資産の引き揚げの動きが水面下で続く可能性もある。

2.ポンドの割合はBREXIT決定の後も目立った減少はなかった。4.69%と微減に留まった。これは世界の外貨準備運用担当者にとってもサプライズだったことや決定から1週間程度では今後の運用方針を決めるのが困難だったことによると思われる。第三四半期は減少傾向が明らかになると推測される。

3.今回のデータで最も目立ったのは円の割合の増加だ。4.54%だが、この10年間で最も大きい。円はリスクオフの時に買われる安全通貨であり、これは主に短期の為替取引の一つの要因だが、中長期のポートフォリオマネージャーにも影響が及んでいると考えられる。あるいは相対的に日本のファンダメンタルズが見直されているのかもしれない。第三四半期はポンドと円の順番が入れ替わる可能性が高い。

4.ユーロの割合は前期若干戻して減少傾向に歯止めがかかったかに見えたが、それは一時的であった。20.18%と一昨年に比べれば3%近く減少している。第三四半期は20%を切ったとしてもおかしくはない。

5.その他通貨についてはほとんど変化がない。人民元は第四四半期から統計に計上されるはずで、来年初めに数字が公表される。興味深いがその割合はポンドや円よりも低く、オーストライアドル(1.90%)、カナダドル(1.98%)と競う水準ではないかと予想する。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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