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市場養生訓

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第651回

2016年12月20日

 FEDは予想通りフェッドファンドの水準を0.25%引き上げ、0.50~0.75%の範囲にした。昨年の12月以来の利上げだ。同時に公表されたFOMCのメンバーの今後の見通しによれば、一番多かったのは来年3度の利上げをして1年後には1.25~1.50%の水準になるとの見方だ。(一度の利上げが0.25%の前提)

 それまでは利上げは2度と見られていたので、利上げの回数が増えたわけだ。それで市場は反応したわけだが、FOMCのメンバーの昨年12月の利上げ時の予測は年4回だった。実際は今回の一度だけだったわけだから彼らの予測も当てにはならない。

 一方、金融市場の参加者たちが取引するフェデラルファンドの先物の価格から推計する利上げの可能性は年2度だった。その点ではFOMCのメンバーよりも金融市場の参加者の方の信頼性が高かった。

 では今回はどうか。

 直近のフェデラルランドの先物価格が示すところによれば、来年の12月のフェデラルファンドの水準は1.00~1.25%の可能性が最も高い。だが1.25~1.50%の可能性もわずかの差で次いで高い。つまり利上げは2度ないし3度との見方だ。

 この点では金融市場の参加者はFOMCのメンバーよりも金利水準の見通しは低めだが大差はない。

 FOMCと金融市場の見方がほぼ一致しているとなれば、これが妥当な見方と判断してよさそうなものだが、そうではない。

 両者ともトランプ新政権の減税やインフラ投資などの財政政策の影響を図りかねているからだ。そうした大きな不確定要因が両者の見通しを大差ないものにしたと言える。

 フェデラルファンドの市場では1年後も現在の金利水準と変わらない可能性は4~5%、5回の利上げの可能性が3~4%と、共にテイルリスクと呼んでもいいくらいだが、このリスクが顕在化しても驚きはない。

 為替もそうした市場の変化を反映して変動するわけで、来年は為替レートの予測よりもリスクマネージメントの比重が一層重要になるだろう。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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