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市場養生訓

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第717回

2018年04月24日

 米国の10年債のイールドが3%に接近してきた。3%は大井川や白川の関のように越すに越されぬバリアがあるわけではないが、市場の心理的バリアがあるポイントではある。それは債券ディーラーも為替ディーラーも同様だ。

 多くのストップロスやデリバティブ商品のトリガーもその近辺に置かれていることは容易に考えられる。

 一般的に短期金利は中央銀行の政策が反映されるのに対し、長期金利はインフレ期待や景況感を反映する度合いが高い。その点では長期金利の上昇は米国経済にとってはポジティブな動きになる。となれば金融政策も一層の引き締めに向かう可能性が高くなる。

 フェドファンドの先物レートから類推する利上げの可能性を見ると、6月と9月のそれぞれ0.25%ずつがほぼ確実で、12月も市場の半数は利上げを見込んできた。1か月前は30%ほどの可能性だったが急速に高まってきた。12月も利上げすれば今年は年4回の利上げになる。従来は3回の見方が大勢だったので引き締め色が濃くなったと言える。

 だがこうした10年債やフェドファンドの先物レートが伝えるメッセージとは異なるメッセージを読み取れる指標もある。

 イールドカーブだ。長期と短期の利回りの格差を表した曲線だが、長期金利として10年債、短期金利として2年債がよく使われる。これは2年債が政策金利(フェドファンドレート)を強く反映しているからだが、直近では2.48%だ。現行のフェドファンドの目標は1.50-1.75%なので、あと3回の利上げを織り込んでいると見ることができる。

 イールドカーブの形状は一般的に先行き景気が改善していく場合あるいはインフレ率が上昇する場合は順イールドになる。つまり短期金利に比べて長期金利が高くなる。その度合いが強くなれば曲線の角度は険しくなっていく。逆に先行き景気の悪化が見込まれる場合などは長期金利が短期金利よりも低くなる逆イールドの形状になる。

 現在のイールドカーブは長短の金利差が縮小傾向で同水準に向かっている。(フラットニング)。さらに進めば逆イールドになる。こうしたイールドカーブの形状から見ると先行きの景気不安の見方が生ずる。ただイールドカーブのフラットニングや逆イールドは利上げ直前に見られるテクニカルな現象と捉えることもできる。

 現在、利回り格差は長期債のイールドが3%に接近したため50ベーシスポイント(bp)ほどだが、一時は40bpほどに縮小した。いずれにせよ10年債のイールドが3%を超えるかどうかはイールドカーブの形状についても短期のトレーディングにつても重要なポイントになる。
 

※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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