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市場養生訓

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第721回

2018年05月22日

 リラの下げが止まらない。対ドルで最安値を更新中だ。経常収支の赤字、ドル建て負債の増加、それに原油輸入国でありながら、通貨安に見舞われても金利を思い切って上げないからだ。

 もちろんトルコリラのことだが、リラと言えば以前はイタリアリラのことを指すのが市場では普通だった。もし現在イタリアリラがあったらどうなっているだろうか。

 トルコリラほどではないにせよ、対マルクでも対ドルでも大きな売り圧力にさらされているだろう。債券も同様だ。10年国債は昨日2.4%を超えたが、直近の2週間でイールドは65ベーシスポイント上昇(価格は下落)した。これはユーロ建てだが、仮にリラ建てだったらと想像すると背筋が寒くなる。

 イタリアリラの復活は現実的ではないが、イタリアの政治状況を見るとテールリスクと捉える必要はあるかもしれない。

 3月の総選挙以来空白だったイタリア政府は、二つのポピュリスト政党が政策合意し、首相候補を決定し、スタートの見込みだ。両政党ともユーロには懐疑的だが、特に一翼を担う「同盟」の党首は、マーストリヒト条約の前に戻るべきとの主張だ。マーストリヒト条約はユーロの参加条件(財政赤字、累積債務残高、インフレ率など)やECBの設立などを規定した条約だ。

 連立政権としては選挙公約もあり、拡張的な財政政策は避けられない。その結果、累積債務残高は現在のGDP比130%から増加する可能性が強いし、財政赤字もユーロ圏諸国が順守すべき3%以内を維持するのは不可能だ。むしろ連立政権はユーロの価値を維持するための規律を意識的に順守しないつもりだ。

 となればユーロ圏は条約を修正するか、イタリアがユーロ圏から離脱しリラに戻るか、あるいは規律を無視した状態でイタリアがユーロ圏に留まるかになる。イタリアの国民の過半数はユーロの維持に賛成なので、連立内閣も敢えてユーロ離脱を掲げない。現実的には三番目の選択になる。

 ユーロは、昨年5月のフランス大統領選でマクロンが勝利し、政治リスクから解放されて以来堅調に推移してきた。イタリアの政治リスクは今のところそれほど重視されていない。フランスはドイツと並んでユーロ圏をけん引する立場の国だから政治的な重みが違うし、イタリアは元来政治的流動性が高いからだ。だがユーロ圏ではフランスに次ぐ経済規模の国だ。中東欧でもEUの価値観の政治的求心力が低下している。そうした中でイタリアの政策や経済が不安定になればユーロの価値への疑念が増す。

 まだ新政権は発足していない。首相も政治経験のない大学の教授のようだが、実際にどんな政権運営をするのか。普通に考えれば混乱は続くと思われ、ユーロはアキレス腱を抱えることになる。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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