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市場養生訓

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第730回

2018年07月31日

 今週は中央銀行の週だ。米国、英国、日本で金融政策についての政策委員会が開かれる。このところ米国のFOMCが最も注目され、日銀の注目度は最も低いことが多かったが、今回は違う。日銀はサッカーのワールドカップでの日本チームと同じだ。俄かに市場の注目を浴びだした。

 FOMCは9月と12月に利上げが既定路線で、BOEは今週0.25%の利上げの可能性が高い。それでも日銀が注目されるのは、政策変更を全く期待されなかった日銀が、もしかしてとの期待が広がったからだ。

 日銀は現在の政策でイールドカーブコントロールを採っている。10年の長期金利をゼロ%近辺で抑えて長短金利の利回り曲線をほぼフラットにしている。この長期金利を若干上昇させるようなオペレーションをこの1週間で3回実行した。これが政策変更の意図を反映したものか、テクニカルな要因に留まるのかが問題になる。

 その答えは間もなく判明する。政策委員会は終了し、総裁の記者会見が行われる。

 直近のインフレ率は低下し、2%の目標は遠い。その点では従来の金融緩和政策が功を奏していないのは明らかだ。そうなると副作用と言わるもの比重が高くなる。具体的には金融機関などの収益の低下だ。日銀の金融政策の目的は物価の安定の他に、金融システムの安定がある。金融システムの安定にはそれを担う金融機関の健全な経営が前提になる。

 市場の反応については日銀の金融政策の修正の可能性が出てから、為替では円高、円の長期金利は上昇した。長期金利の上昇はドルやポンドなど他の通貨の長期金利の上昇にも影響している。米国の10年債は再び3%に近づいてきた。

 日銀が金融政策の修正の意図を明確に示せば、こうしたトレンドに拍車がかかる可能性が高い。しかし修正を明確に否定したり、曖昧などっちつかずの表現になればトレンドは続かないだろう。

 そうなると、市場は中国の状況や貿易戦争に再び軸を移すことになる。サッカーの日本代表のように注目が継続するには明確な修正が必要だろうが、日本代表の監督は変わったが、日銀総裁は続投のままだから、無理かな。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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