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市場養生訓

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第736回

2018年09月11日

 9月は大きなイベントの発生する時節だ。世界金融危機の象徴であるリーマンンブラザーズの破綻や、先進諸国がドル下落を推し進めることを決めたプラザ合意もそうだ。そして今日9月11日と言えば、米国での同時多発テロが蘇る。

 テロ直後はドルが売られ、ドル円は1週間で5円ほど下落した。テロにより人とモノの自由な移動が制限されることはグローバル化された資本主義を脅かすとして株式市場でも売られた。

 こうした事態に世界は協調して市場に資金供給をしたり、利下げを繰り返した。ECBとFEDの間では緊急スワップ協定を結び、いざというとき資金不足に陥らないように相互補完体制を築いた。

 主要国の中央銀行は、米国の決済システムの混乱を避けるため外為市場での取引量を必要最小限に抑えた。FEDの要請に積極的に協力したのだ。

 一方で日銀は大幅な市場介入によりドルを支えた。押し上げ介入と呼ばれたが、116円を割れた水準から120円を超えるまで介入が続けられた。

 こうした世界各国の協調的な危機管理対策により、テロ後1か月ほどでドルはテロ前の水準に戻した。

 世界の中央銀行総裁や学者などが参加する先月のジャクソンホール会議でも話題になったが、景気後退や何らかの危機に陥った場合、米国をはじめ世界は有効な対策を打てるかとの問題がある。金融政策も財政政策も十分な余力がないと言うのだ。利上げが進んでいる米国でも5%も金利を下げるわけにはいかない。財政赤字もほとんどの国で金融危機後増加した状態で、財政支出には限界があるとの見方だ。

 確かに各国の金融や財政の状態に問題はあるかもしれないが、それより重要なのは協調体制を採りにくくなっていることだ。市場介入でも単独介入よりも協調介入の方がはるかに効果的だ。例えば100億ドルの単独介入でもたらされる効果は協調介入なら10億ドルで済む可能性がある。

 だが現在の米国は国際機関や国際協調を評価しない。トランプ政権が続く限り国際協調は機能しないと考えられる。いざ危機的な状況が生まれて国際協調を唱えたとしてもそれまでに協調の土壌は失われているので迅速な対応は期待できない。

 今週はトルコ中央銀行の政策会議がある。インフレや通貨安を抑えるため大幅な利上げが期待されているが、昨日発表の第二四半期GDPが5.2%と前期の7.3%から大幅に下落した。今後景気後退に陥る可能性も指摘される中で大統領の意向に反して少なくとも3%以上の利上げを実行できるか。そしてトルコの通貨危機の沈静化の契機にできるかがポイントだ。

 いずれにせよ世界の危機対応能力が低下しているとすれば、危機が発生しないことをただ祈るばかりだ。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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