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市場養生訓

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第747回

2018年11月27日

 アルゼンチンペソは今年の新興国通貨の下落を象徴するような通貨の一つだ。春ごろから秋口にかけて対ドルで半値ほどに下落して市場の注目を浴びたが、IMFの支援もあり10月頃から落ち着いてきた。現在では低位安定だが市場の関心は薄れてきた。

 だが最近再びアルゼンチンが市場の注目を集めている。ペソではなく、G20の会議だ。ブエノスアイレスで今月末に開催される。特に米中首脳会談だ。

 OECDによれば、米中貿易戦争が今後もエスカレートすれば、世界貿易は2%減少し、米国の消費者物価をさらに0.6%上昇させる。そして米国金利を0.5%上昇させる。

 OECDは世界経済の成長がピークを過ぎた局面での貿易戦争のエスカレートは世界経済が予想以上の厳しい局面に直面する可能性があると警告する。

 米中は関税をかけあってきたが、米国が中国からの輸入2千億ドルに対して課した10%の関税は、来年から25%に跳ね上がる。とりあえず今回の会談でこうした措置の先送りが実現するかどうか。何らかの休戦が合意されれば市場ではポジティブに受け止める可能性がある。

 いずれにせよブエノスアイレスで米中が和解し貿易戦争が完全に終結する見込みは薄い。

 G20と並んで、FOMCの議事録やFED議長のパウエルの発言も注目される。

 12月の利上げは動かないとして、先行きのインフレや景気に対して従来の見方に変化を及ぼすようなヒントが含まれるかどうか。金融市場では来年は6月頃に一度の利上げの見方が支配的だが、市場の見方に近づいてくるのか。

 昨日ECBの総裁ドラギは、資産購入により資金供給は予定通り今年で終了する見込みと言った。失業率の低下や企業収益の上昇で景気やインフレ率の上昇には確かなものがあり、株などの資産価格の下落やいくつかの経済指標の悪化は金融政策変更の材料にならないとの判断だ。

 セントラルバンカーのメンタリティは似ているので、パウエルも従来の見方を変える可能性は低いと思われる。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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