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市場養生訓

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第757回

2019年02月12日

 「人の行く裏に道あり花の山」相場に関する有名な格言だが、市場では多数派に組(くみ)しないことが利益を上げる道だ、との意味だ。確かに多数が買い持ちのポジションを持っているときには次の局面で売りの方が多くなるので、相場が下がる傾向がある。そこで少数の売り持ちポジションを保有していた方が有利になることが多い。

 一般的にはそうだが、そうは問屋が卸さないケースもある。BREXITはいつも多数の期待を裏切ってきた。最近ではEU離脱案が議会で否決された後、市場参加者の多数は合意なしの離脱の可能性は少ないと見た。離脱の期限が近づいてくれば修正案や期限の延長など合意なしの離脱を避けることでまとまるとの見方だ。だがそうした見方が怪しくなってきた。

 では少数派に従ってポンドをショートにしたら利益が上がったかというとそうでもない。ポンドの上昇でロスカットを余儀なくされた者もいる。ショートポジションを持ち続けていればいいのだが、ボラティリティの高い水準でアゲインストのポジションを持ち続けるのは難しい。

 そこでポンドは為替のアウトライトのポジションよりも通貨オプションの方が増えることになる。

 BREXITと並んで現在の市場の注目点に中国がある。二つの視点がある。一つは米中貿易戦争で、もう一つは債務問題だ。米中貿易戦争の方は関税の期限に向けての交渉の進展具合で市場が動く。トランプ大統領は習近平との会談を予定していないと言ったが、現在進行中の交渉次第ではどう展開するかわからない。

 債務問題の方は中国経済の足かせになっていて、金融政策も難しくしている。構造的な問題で短期間に解決できるような問題ではない。不良債権の増加、金融機関の破たんなどがかなりの規模で表面化したときには市場への影響は避けられない。米中貿易戦争は派手なトピックなのでこの問題の進展は市場で大きく捉えられる傾向にあるが、債務問題は根が深く中長期的に市場にも影響を及ぼす。

 米中貿易戦争に起因する為替の変動では「人の行く裏に道あり」が通用する局面が比較的多いが、債務問題に起因する変動では「表道」を堂々と行く方がいい。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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