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市場養生訓

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第759回

2019年02月26日

 通貨の勉強がしたかったら、最適な場所はジンバブエだろう。

 RTGSドル、ジンバブエの新通貨の名前だ。よく変わるので名前は覚える必要はない。先週発表され今週からスタートだ。よく変わるのは通貨が信用を失い、制度を維持できなくなるからだ。その背景には規律のない財政、汚職、インフレなどがある。

 ジンバブエに市場で興味を持つ人はほとんどいない。ただ以前、ハイパーインフレーションで有名だった。現在のベネズエラと同様だ。

 通貨はジンバブエドルだった。ハイパーインフレで、対ドルで切り下げやデノミも何度か行ったが、インフレは沈静化せず、通貨価値の減少が続いた。この間、固定相場制から変動相場制への移行も行った。しかし通貨の信用は完全に失われた。

 そこで米ドルや隣国の南アフリカランドが使われるようになった。外国通貨、とりわけ米ドルで物価の安定を図ろうとした。いわゆるドル化だ。それでインフレ率はある程度低下した。2015年にジンバブエドルは正式に廃止された。

 しかし問題はドル不足だった。通貨は経済全体に回らなければならないが、十分なドルがなかった。皆ドルを欲しがるが、中銀の外貨準備も乏しかった。

 そこで16年に米ドルの代用通貨を発行した。これはボンドノートと呼ばれ、米ドルと等価のレートに設定した。こうしたケースでは中銀が十分なドルの外貨準備を保有し、ボンドノートの価値を裏付けているか、あるいは政府・中央銀行の信用が強ければレートを維持できる。だがそうでない場合は誰もがボンドノートよりも米ドルを選好する。そうなるとブラックマーケットが生まれボンドノートは米ドルに対して低下する。

 またドル不足を補うため、電子ドルという他の形態もあり、モノの値段がそれぞれの通貨で異なるという混乱も生じた。

 そこでボンドノートを米ドルに対して切り下げた。市場レートに合わせるようにした。これは市中銀行にボンドノートを取引させることで実現した。市場での為替レートは1米ドル3-4ボンドだ。そしてこの市場レートを持つ通貨をRTGSドルと名付け、ジンバブエの新通貨とした。

 これでモノの値段も一本化され、自国通貨が米ドルと等価だったため手に入りにくかったドルへのアクセスが容易になれば、ビジネスは円滑に進むという政府・中銀の期待通りになるのだが、どうだろう。

 元のジンバブエドルに戻っただけとの見方もある。そうなれば現在二けた台のインフレ率は上昇し、通貨は下落し、さらにインフレ率が上昇する悪循環に陥る。通貨の勉強にはなるが、ジンバブエの通貨への期待は乏しい。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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