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市場養生訓

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第764回

2019年04月02日

 世界の外貨準備の通貨構成がIMFから発表された。2018年末時点のデータだが、そこから読み取れるポイントを列挙する。

1.ドルの割合(61.69%)の低下傾向は続いている。2015年の第一四半期と比べると4.3%減少している。ドル離れは緩慢なペースだが着実に進行しているように見える。ロシア、旧ソ連圏、一部の産油国などはドル離れを公然と実行している。問題は世界最大の3兆ドル超の外貨準備を保有する中国だ。中国が仮に現在のドル保有の3分の一を他通貨に変えるなら、ドルの割合は50%台半ばに低下する。

2.ユーロの割合(20.69%)は増加傾向にある。ドルの反射鏡のようだ。ユーロがドルの第一の受け皿であることを反映している。ECBの副総裁は昨日、市場は合意なしのBREXITを織り込んでいないとして、ユーロ圏の経済、為替、株などへの懸念を示したが、BREXITの影響は計り難く、ユーロについても今後の不確定要因になる。

3.ポンドの割合(4.43%)はあまり変化がない。数字だけ見るとBREXITの影響を受けていない。一つには金融関係者は合意なしのBREXTの可能性を低く考えていたことによる。金融機関のスタッフの英国外への移転も今のところ想定よりも少ないことなどに表れている。となれば合意なしのBREXITのケースでは想像以上のリスクが発生する可能性がある。

4.人民元の割合(1.89%)は2016年第四四半期から明示されるようになってから徐々に増加してカナダドルをわずかに上回るようになった。だが依然として2%にも満たない。人民元の国際化の進展は遅々としている。

5.円の割合(5.20%)の増加傾向が目立つ。ドル、ユーロの次の通貨としての序列が定着してきたようだ。政治の安定、法の整備、金融・資本市場の流動性など「安全通貨」としての要件が、超低金利、キャリートレードの資金調達通貨としての特徴を上回っていることの証だろう。

6.当該データの信頼性が高まった。通貨構成の明示には消極的な国もあり、IMFのデータには明示してない部分もある。明示する割合は数年前までは5割程度だったが、徐々に増え、今回では94%ほどになった。これには中国の方針の変化が大きく影響している。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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