FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

市場養生訓

最新の記事

第767回

2019年04月23日

マネーパートナーズからのお知らせ:次回更新はゴールデンウィーク後、5/7(火)の予定です。


米国がイラン原油禁輸の特別措置を来月初めに打ち切ると昨日発表した。特例措置の対象だった8か国はイランからの原油輸入をゼロにして、米国が勧めるようにサウジアラビアやUAEなどからの輸入に切り替えるか、米国の意向に逆らい、イランからの輸入を継続するかになる。後者の場合は米国の経済制裁を覚悟しなくてはならない。各国の主権を脅かすような米国の措置に対して、当然のことながら中国やトルコは直ちに反発した。

だが中国は意志を貫けてもトルコは難しいだろう。と言うのもトルコリラが厳しい状況にあるからだ。今回の米国の措置により原油価格がさらに上昇の可能性があり、トルコの経常収支の赤字は拡大する。それが更なるリラ安を後押しする。そして米国の経済制裁の対象になり、ドルの調達が円滑に進まなければ今後1年以内に満期が来る17000億ドルの短期借入れの返済にも支障をきたす可能性がある。そうなればリラは暴落だ。いくらエルドガン大統領でもリラの暴落の可能性と引き換えに米国の経済制裁を受け入れる選択はしないだろう。

そうでなくてもリラは厳しい状況にある。先月の終わり頃に急落したリラは、リラの貸し出しを制限することで、リラのショートポジションをあぶりだして急速に戻したが、それも一時的で再び下落基調を辿り始めた。直近のドルリラのレートは5.8270水準で、前回急落した水準を上回っている。3月下旬に比べれば10%以上リラは下落している。

景気後退や高いインフレ率など経済のファンダメンタルズの悪化がリラ安の背景にあるが、今回のリラ安局面で焦点になったのは外貨準備だ。二つの面からの懸念が指摘される。

一つは外貨準備の減少が著しく、リラの信用を維持するに足りるかどうかの懸念だ。リラの下落を抑制するのに中央銀行が対応する最も一般的な方法はリラ買いの市場介入だ。外貨準備のドルを取り崩して介入資金に充てる。最近行われた統一地方選挙を控え、リラ安の進行は物価高に直結するので政府は避けたかった。そのために介入を続けた結果外貨準備の著しい減少を招いた。グロスでは700億ドル、ネットでは200億ドル以下と指摘されるが、いずれにせよ低い数字だ。

もう一つは外貨準備を補強するために当局が採った方法だ。中央銀行がリラとドルの通貨スワップでドルを調達し、外貨準備に組み入れた。通貨スワップで外貨準備を補強するのは珍しいことではない。アジア諸国の多くは通貨危機に備えるため各国間でスワップ協定を結び、介入資金の調達に問題が生じないような態勢を整えている。だがトルコの中央銀行の場合はトルコの銀行と1週間の短期のスワップだ。1週間後にはドルを戻さなくてはならない。これでは実質的にドルを使用することは難しく、単なる見せかけだと指摘されてもしょうがない。

いずれにせよリラ安要因ばかりが目立つ。もっとも普通なら金融テクニックとして見過ごされたかもしれないことも、疑いの目で解釈されてしまう。これも市場の特性の一つだ。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

このページの先頭へ

2019年08月27日
2019年08月20日
2019年08月13日
2019年08月06日
2019年07月30日

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引および証券取引に関するご注意

パートナーズFX、パートナーズFXnanoおよびCFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格とには差額(スプレッド)があります。

取引手数料は無料です。ただしパートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの受渡取引に限り、1通貨単位あたり0.10円の手数料をいただきます。

パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの証拠金は、為替リスクを想定し通貨ペアごとに当社が定める額と、金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額のうちいずれか大きい額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第27項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。

CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。 国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.7%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,700円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会

このページの先頭へ