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市場養生訓

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第771回

2019年05月28日

 ドル金利は現状の水準が続く可能性よりも2度利下げをする可能性の方が高い。フェドファンドの先物レートから類推する12月のFOMCでの見通しだ。1度の利下げの可能性が最も高いが(42%)2度以上の利下げの可能性も34%ほどある。

 1か月前は1回の利下げの可能性の次は現状維持の可能性が高かった。この間金融市場参加者のドルの金利観は利下げ方向に大きく深まったようだ。

 米国債も10年のイールドが直近で2.31%と、ドル買いが一挙に強まった3%台を超えた水準が遠い昔のように思える。2年債のイールドは2.17%と現在のフェドファンドの目標金利2.25-2.50%よりも低い。このところリスクオフのトレードの一環として短期債への需要が強まっていることも一因だが、金利水準は全期間に渡り低下傾向にある。

 このようにドル金利は明らかに低下傾向だが、その割には為替市場でのドル売りには迫力がない。

 まるで金利と為替の回路に目詰まりが生じたような感じだ。中央銀行が低金利政策を続けてもインフレ率が上昇せず、景気回復も弱い状況が続くのと似て、従来の相関関係が当てはまらなくなっている。本当にそうだろうか。

 そもそもドル金利の低下が必然的に為替でのドル下落に結びつくわけではない。為替市場でドルが下落するのは市場参加者がドルを売るからであって、金利が低下するからではない。金利が低下してもドルを売る人がいなければドルは下がらない。例えば市場にドル債の運用をする日本の機関投資家だけしかいないとすれば、ドル金利の低下が見込めれば米ドル債を買う。債券価格の値上がりが見込めるからだ。この場合、ドル円は上昇する。また市場に円を借りてドルの資金市場で運用しているヘッジファンドしかいないとする。そのヘッジファンドは2%の金利差を享受しているが、ドル金利の低下で金利差が縮小して為替レートが2%以上下落する可能性が高まったと判断する。そこでポジションを解消する。ドル円を売ることになる。ドル円は下落する。

 このように金利の変動と為替レートとの関係は一様ではない。だが多様な市場参加者の多様な取引をまとめるとドル金利の低下はドル売りの方が多いという判断になった。この市場の知見を利用するのが投機の為替だ。商業的取引の裏付けがなくただ為替差益のみを狙って市場参入するものだ。彼らは市場の9割以上を占める。つまり為替レートに最も影響を与える。

 金利と為替の回路に目詰まりがあるとしたら、二つの可能性だ。一つは市場の知見の変化だ。ドル金利の低下でドル売りが従来ほど多くはなくなった可能性だ。もう一つは投機の変化だ。市場の知見の変化に気づき為替取引の判断を変えた可能性だ。というよりも戸惑い、取引を控えているのが実態だろう。
 

※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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