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市場養生訓

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第774回

2019年06月25日

 金融市場でのドル金利の見通しは増々下落基調を強めている。フェドファンドの先物レートから類推する政策金利の水準を見ると、来月のFOMCでの利下げは100%の可能性だ。しかも0.5%の利下げの可能性が4割以上もある。1か月前は市場参加者のほとんど誰も0.5%の下げの可能性を見ていなかった。

 12月にはフェドファンドが1.50-1.75%の水準になる可能性が4割ほどと最も多い。つまり1回の利下げが0.25%とすれば3回の利下げになる。次いで4回の利下げ、2回の利下げの可能性が続く。

 こうした金融市場の参加者の見方がストレートに為替市場に反映しないのが最近の市場の特徴だが、それでもここまでくると影響は免れない。新興国市場の通貨安も頭打ちになってきた。

 人民元はマジックナンバーのドル人民元7.0越えの圧力は緩和され、6.90台からドル人民元(CNH)は下落し、直近では6.88台で推移している。香港ドルも先月までは変動幅(7.75-7.85)の上限(米ドルの上限、香港ドルの下限)近辺で推移していたが、直近では中心レートの7.80近辺まで下落(米ドル下落、香港ドル上昇)してきた。ドル金利低下による2国間の金利差の縮小で香港からの資金流出が抑制されたためだ。

 市場にはもう一つの変動要因がある。リスクオフの要因だ。金は今月初めに1オンス1300ドルを超えると急上昇し、1400ドルを超えてきた。直近では1430ドル水準だ。信用力の高い国債が買われ、欧州ではドイツの他にもフランスの国債もマイナス金利になった。世界の市場でのマイナス金利で取引される債券の残高は過去最高の12兆5千億ドルを超えた。

 安全通貨/避難通貨のスイスフランも買われていて、ユーロスイスは1.10台へとスイスフランは上昇している。2017年7月以来の水準だ。ドルも安全通貨の一つだが、ドル金利の低下が為替への影響を相殺している。そして円も安全通貨の代表だが、現在は107.00水準で推移している。ドル金利の低下、リスクオフのいずれもドル円の下落要因だが、その割には下落幅が穏やかだ。円の市場金利も下げていることなど下落抑制要因もあるが、下落トレンドが強まると見る方が素直だろう。105円割れで止まる理由は今のところ見当たらない。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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