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市場養生訓

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第780回

2019年08月06日

 米国が中国を為替操作国に認定した。こうなると米国は為替操作国に対して関税や輸入制限などの措置をとることになるが、既に米国は中国に対して貿易赤字を減らすための関税を含めた措置をとっている。その点では一層の貿易制限の強化の可能性はあるが、現在進行中の対策を正当化する意味合いが強い。

 為替操作国の認定は、対米貿易黒字額、経常収支黒字額、介入の頻度などの基準を設けているが、政治的な判断による。そもそも中国のような管理変動相場制や香港のような固定相場制を採用している国では介入の頻度は多くなる。世界では米国や日本のような変動相場制を採用している国の方が少ないのだ。

 中国が為替操作国に認定された契機は、ドル人民元が月曜日に7.0を超えたことだ。これまで何回か7.0を超えるような状況が生まれたが、中国当局はそれを防いだ。ドル売り人民元買いの市場介入が主たる手段だが、資本流出規制も講じてきた。7.0を超えると相場に弾むがつき大量の資本流出が発生し、人民元安を抑えるためのドル売り介入で外貨準備が大幅に減少する可能性を危惧したからだ。その過程で株式市場や信用市場も混乱に陥る。

 今回の7.0超えは直後に当局の声明が用意されていた。人民元の下落は保護主義と中国製品に課せられた関税によるとの内容だ。この背景には7.0を超えても大量の資本流出は発生しないとの見通しと、米国の関税引き上げに対して通貨安で対抗する意味合いもある。その点では中国の自信と覚悟の表れでもある。

 市場では人民元の7.0のように特定の数字が壁になることはよくある。例えばドル円の100.00もそうだが、市場取引の中でそうした壁があると、その前後にストップロスや通貨オプションのヘッジポジションなどが累積されていく。だが結局は突破されることが多い。

 人民元の7.0を超えて人民元安が続くと、アジア通貨への影響を考えなくてはならない。アジア諸国の交易条件が悪化しアジア通貨への下落圧力が増すからだ。外貨準備額の少ない国や景気が悪化している国は特に影響が大きくなる。

 今回の中国に対する米国の為替操作国の認定で特筆すべきは二点ある。

 一つは、貿易戦争が通貨戦争に繋がる可能性だ。米国の貿易赤字の削減を目指して始めた貿易戦争だが、必ずしも期待通りに削減が進展していない。そこでトランプ大統領が為替レートをいじりたくなっても不思議ではない。他国にも為替操作国のレッテルを貼ったり、口先介入をしたりしても誰も驚かない。財務省に実際の介入を指示したとしても、だ。トランプの経済顧問によれば大統領は市場介入に同意しないと言ったようだが、朝令暮改は大統領の特徴だ。

 もう一つは、為替操作国に認定されれば当該国の通貨は急騰してもおかしくない。それがそれほどでもないのはどうしてだろう。トランプの陰りの前兆なのか。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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