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市場養生訓

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第782回

2019年08月20日

 夏の恒例のイベント、ジャクソンホールでの会議が今週木曜に始まる。世界の中央銀行、投資家、学界などからの参加者が集う。今年のテーマは「金融政策の挑戦」だ。

 ジャクソンホールの会議と言えば、FEDの議長が量的金融緩和政策の強化や縮小を示唆して、その都度市場に大きな影響を与えた実績がある。その点では市場参加者にとっても軽視できないイベントだ。

 今年は世界の中央銀行の3分の一以上がこの6か月間で金融緩和政策を実施した。景気後退や金融緩和の潮流が世界を覆い始めた。そうした中でFEDのパウエル議長が一層の利下げを目指すのか、既にマイナス金利が広がるECBや日銀が更なる強力な緩和政策に踏み込むのかが注目される。金融政策の限界が指摘される中で中央銀行の姿勢が試される。

 特に米国では市場の見方との乖離が広がっている。パウエル議長は先月の利下げの際に、利下げは単なる調整で継続的な利下げの一局面ではないことを強調した。だが直近の市場を見ると、フェドファンドの先物レートから類推する可能性では、9月の利下げが100%、年内までに来月の利下げを含めて、2,3回の利下げが大勢だ。市場は継続的な利下げ局面と捉えている。

 こうした市場の見方を裏付けている一つが、イールドカーブの形状の変化だ。短期の方が長期よりもイールドが高いという逆転現象だ。逆イールドと呼ばれる現象は景気後退のシグナルとみなされることがある。国債の3か月と10年は既に逆イールドになっていたが、最近2年と10年も逆転した。

 こうした市場環境の進展の中でパウエルがどんな言葉を発するか。市場は利下げの継続を前提にしているので、そうでない場合には失望になる。

 為替に関してはパウエルが利下げの継続を示唆した場合、ドル下げのベクトルとリスクオン取引増加のベクトルが予想される。ドル円に関しては二つの相反するベクトルの和になる。どちらが強いかで方向性が決まるが、FEDの次は日銀の金融政策に目が向けられる可能性がある。だが日銀がFEDより効果的な緩和政策を打ち出す可能性は期待できない。そうした点も考慮するとドル円は下落方向へのバイアスがかかりやすい。


※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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