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市場養生訓

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第783回

2019年08月27日

 先週のジャクソンホールの会議ではFEDのパウエル議長の講演が最も注目されていたが、BOE総裁のマーク・カーニーの発言も注目に値するものだった。

 国際金融システムにおけるドルの役割についてだ。米国は世界貿易の10%、世界のGDPの15%を占めているが、世界貿易の半分以上はドル建てであり、世界の証券の3分の2はドル建て発行だ。つまりドルが過剰に使われていると指摘する。そのため金融システムにゆがみを起こし、各国の金融政策の有効性を損なっている。

 例えば、FEDの金融政策に振られてドルの資本流出入が激しくなり、各国の金融政策の効果が台無しになる。特に新興国ではこの傾向は顕著だ。またリスクに対応するため必要以上にドルを保有しなければならず、資金の効率的な利用ができないこともその一例だ。

 そこで彼は、多極通貨体制あるいはIMFが管理するデジタル通貨体制などへの移行を主張するのだが、要は現行のドル一極体制を早く変更することが望ましいと考える。

 カーニーはBOE総裁の前はカナダの中央銀行の総裁や国際金融安定化の会議の議長などを務め、それぞれで実績を上げてきた国際金融界の実力者だ。そうした人物が公の会議で明確に現行のドル体制の変更を求めたことは驚きでもある。

 これまでもEU委員長がユーロの基軸通貨化を求めたり、ロシアや中国の当局者がドル一極体制からの脱却を主張してきたりした。ロシアや中国は金の外貨準備を急増させたり、人民元建ての国際取引の増加を図ってきたりした。だがそれらは具体性に乏しかったり、時間がかかったりする。カーニーは人民元が基軸通貨になるのを待っていられないのだ。

 思えば先月はブレトンウッズ会議75周年だった。1944年米国のブレトンウッズで開かれた会議で戦後の国際金融体制が確立された。ドルは金とリンクし、各国通貨はドルとリンクする金ドル本位制が生まれた。IMFも創設され国際金融体制を担うことになった。71年にはドルと金のリンクが離れ、各国通貨は間接的な金の裏付けを失った。ドル本位制への移行だ。1ドル360円の固定相場が一度は308円に組み換えられたが、その後は変動相場が続き、今日に至っている。

 こうした国際金融のシステムがうまく機能しなくなっていると見る人が増えている。トランプ政権は戦後のシステムの見直しを掲げて政権に就いたが、戦後のシステムの肝であるドル本位制の威力を政治力の源泉にしているのは皮肉なことだ。
 

※当コラムは毎週火曜日の更新です(火曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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