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市場養生訓

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第786回

2019年09月17日

BIS(国際決済銀行)から3年に一度の外為取引に関する調査結果が発表された。数字は今年4月の一日当たりの平均取引高に基づく。そのデータから特筆すべきポイントを列挙する。

1.世界の外為市場の取引高は一日6兆6千億ドルに拡大した。前回調査(2016年)より30%増えた。史上最高額だ。内訳を見ると取引の半分は為替スワップ取引で、スポット取引は全体の30%ほどだ。前回よりもスポット取引も伸びたが、為替スワップ取引が35%と著しく伸びた。

 為替スワップ取引は資金取引に絡んで利用される場合と先物為替のヘッジ取引で使われる場合がある。世界で金利が変化したことやBREXITなど地政学的リスクの高まりで為替リスクのヘッジ取引が盛んだったことが要因だ。

2.通貨別では相変わらずドルのシェアが圧倒的に高く、全取引の9割近く(88%)に絡んでいる。この割合はこれまでとほとんど変わらない。外為市場に関する限りドル基軸通貨体制に揺らぎはない。2番目にシェアが高いユーロは全体の3割ほどで前回に比べあまり変化はない。円は3番目で17%だが、前回よりも5%ほどシェアを落とした。以下ポンド、豪ドル、カナダドル、スイスフランと続き、8番目に人民元、香港ドルと続く。人民元は増加傾向にあるが、特に香港ドルの増加が目立つ。固定相場制の香港ドルだが、上限から下限の間を変動したことや中国の香港経由の取引が増加したことなどが背景にある。全体として新興市場国通貨の増加傾向は今回も継続している。

3.通貨ペアではユーロドルが最も多く24%を占める。次がドル円の13%、ポンドドル10%と続く。ドルが絡まない通貨ペアではユーロポンドが多く、ユーロ円はその次だ。特にポンド絡みの取引の増加が目立つが、これはBREXITの影響が強い。

4.市場別ではロンドンが43%を占め、二番目のニューヨーク(17%)を大きく引き離した。ロンドン市場は取引高とシェア共に過去最高を記録した。BREXITで金融機関などのロンドン離れが懸念され、ロンドンンの国際金融センターとしての役割に疑問が出たが、外為市場に関する限り杞憂のようだ。

 ニューヨークの次はシンガポール、香港と続き、東京は5番目になる。ロンドン、ニューヨークと並んで世界の三大市場と言われたのが嘘のようだ。04年には東京は香港の倍の取引シェアを持っていたが、今では香港の6割しかない。

ちなみに中国は8番目で東京の半分にも満たないシェアだが、伸び率は高い。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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