FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

市場養生訓

最新の記事

第805回

2020年02月25日

 市場と言っても債券市場、株式市場、為替市場などがあるが、それらは一体のようでいて実はそれぞれが独自の動きをすることがある。
 米国の10年債のイールドは直近では1.40%だが海外市場では史上最低の1.32%に接近するほど低下傾向が著しい。ギリシャ国債(10年債)でさえ1%を切っている。他の債券も同様でイールド低下(債券価格の上昇)は著しい。
 金利の低下傾向は長期ばかりでなく短期も同様だ。フェドファンドの先物レートから類推する可能性では、6月の利下げの可能性が7割あり、12月にはさらなる利下げの可能性が同じく7割ある。
 一方、株は昨日海外で大きく下げたが、それまではニューヨークで史上最高値を更新するなど堅調な動きが続くことが多かった。中国経済の減速やコロナウイルスにも株式市場と債券市場では反応が違った。これは利下げなどの政策対応が株式にはプラスとの認識が株式市場にはあるからだ。いわゆるグリーンスパンプットだ。
 では為替市場はどうだろう。為替市場は株や債券市場に比べて全体としての変動は穏やかだ。市場にネガティブな要因が生まれリスクオフムードが高まると安全通貨/避難通貨が買われる。金や国債の需要が増えるのと同じだ。一般的にはスイスフラン、円、ドルなどがそのカテゴリーに入る。
 確かにドルは買われた。スイスフランもドルに対しては若干売られたが、ユーロに対しては買われた。だが円はドルに対してかなり売られた。
 そこで円はもはや安全通貨ではなくなったのではないかとの見方が浮上した。確かに本来ならば買われる局面で売られたので、そうした見方が出るのはもっともだ。
 だが安全通貨とはリスクオフの時に買われる通貨だが、そのリスクが当該通貨に直接関わる時にはその役割を果たさない。これはソ連のアフガニスタン侵攻の際に生まれた有事のドル買いが、米国の介入した湾岸戦争では有事のドル買いが通用しなかった際に得られた市場の教訓だ。
 今回の円売りは、日本の昨年10-12月期のGDPの数字が予想以上に悪かったこと、その主因が消費税の引上げにあるとの認識が海外では強いこと、コロナウィルスの感染が中国の次に日本が多かったこと(現在では韓国の方が多くなった)、サプライチェーンの分断の影響が日本には大きいことなどが背景にあった。つまり日本がリスクの当事者になっている。
 そもそも安全通貨は一朝一夕には生まれない。円は政治的安定、市場の流動性、法制度の整備などが背景にあり、安全通貨としての信用が生み出されている。それは一つや二つの出来事で失うものではない。ただ不手際、判断ミス、政策の失敗、市場の縮小が続けば、そうした信用もいつか失うことになる。

このページの先頭へ

2021年07月27日
2021年07月20日
2021年07月13日
2021年07月06日
2021年06月29日

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会