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市場養生訓

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第821回

2020年07月07日

 金融商品を購入すると円預金の金利が高くなる、といったパッケージの商品を金融機関から勧められた経験のある人は多いだろう。高い金利に魅了されて飛びつく人も少なくない。金融機関は顧客への好意で商品を売るわけでなく、儲かるからだ。それは金融商品の手数料が高いことやその商品にデリバティブや為替が含まれていてそこから十分過ぎる利益を上げられるのだ。
 例えばオプションなどのデリバティブの場合、オプションを使った商品の組成コストが顧客にはわからない。顧客だけではなく、それを売る金融機関のセールス担当にもわからない。だから大きなマージンを取る余地が生じる。為替の場合は、商品の売買の際に適用されるレートが適正かどうか顧客には判断しがたい。
 それに何より顧客自身がデリバティブの組成コストや適用される為替レートのことを気にしない。だから金融機関にとってはおいしい商品なのだ。
 金融機関の顧客に対する為替レートの値決めについて一般的に見ると、実勢レートを基準にするか、固定レートを基準にする。固定レートとは日本での10時ころ決まる中値やロンドン市場での午後4時ころ決まるフィクシングなどがある。
 実勢レート基準は取引時点の市場レートで、比較的大口の取引に適用されることが多い。為替差益を狙う投機取引にも利用される。固定レートはその他の取引や外貨投資商品の値決めに使われることが多い。後で検証可能な客観的な指標なのでそうした点を重視する顧客にも利用される。
 実勢レート基準では金融機関が不当な利益を上げる余地はほとんどないが、トラブルがないわけではない。特に市場の流動性が少ない時にはトラブルが多くなる。また実勢レートで値決めしても、法外なマージンを上乗せするケースもある。相手が市場レートに疎い場合は特にそうだ。
 固定レートの場合は、その決め方が妥当かどうかが問題になる。常に金融機関に有利に決まっているのではないかとの疑惑だ。数年前にロンドン市場のフィクシングが問題になり、決め方に不正があったとしていくつかの有力な金融機関が当局に多額の罰金を課せられた。解雇や起訴された為替ディーラーもいた。
 日本でも以前は有力な邦銀が持ち回りで幹事行を決め、中値を決めていた。まさに談合だ。幹事行は中値決済のポジションを睨みながら自行に有利に中値を決めていた。
 最近でも為替取引の基準を調整する国際為替委員会の議長が、ファンドマネージャーが適用する為替レートの基準の妥当性に関して疑問を投げかけた。投資信託などに適用する為替レートが買い手に不利になっているのではないかということだ。
 つまりこの問題は古くて新しい。取引時点では金融機関と顧客の利益は相反するので問題が起きやすい。結局はシステムの問題か倫理の問題か、になる。それでも問題はなかなか解決しない。
 

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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