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市場養生訓

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第830回

2020年09月08日

 今週はECBの政策理事会が開かれる。ECBはコロナ対策で既に金融緩和策を強化しており、今回は現状維持の見通しが強い。だがFEDがインフレ率の平均値を目標にした新たな政策を打ち出し低金利の長期化を促した後だけに、新たな緩和策が出てもおかしくはない。
 ただもう一つの注目点はユーロ高をけん制する発言がECB総裁から出るかどうかだ。
 ユーロドルは直近で1.18水準だが、依然としてユーロ高傾向は続いている。先週は1.20を超えた。年初来高値だ。その際ECBの理事会メンバーの一部がユーロ高を牽制した。ユーロ高が輸出競争力やデフレ圧力の点から好ましくないというわけだ。ユーロ圏の経済も回復基調にあるものの盤石ではなく、通貨高の影響を受けやすいとの判断だ。
 実際に昨日発表のドイツの7月の鉱工業生産指数は前月比1.2%の上昇に留まった。市場予想の4分の一程度だ。これで3か月連続の上昇だが上昇度合いが弱くなっているようだ。ユーロ高が足かせになっている可能性がある。
 ところで最近のユーロ高の要因を見ると主に二つある。一つはEUが7500億ユーロを復興資金としてコロナで打撃を受けた国に供与することを決めたことだ。これでユーロ圏の財政統合への道を切り開く可能性を示した。つまりユーロ価値を中長期的に高める仕組みだ。
 もう一つはFEDの金融緩和策の強化による事実上のゼロ金利政策とその長期化だ。ドル価値の下落を促す基盤だ。
 前者は構造的な要因で後者は基軸通貨の環境要因だ。パワフルな要因だ。従って現在のユーロ高を是正するのは容易ではない。ECBがマイナス金利を一層深堀することも考え難いし、国債の購入量を多少増加させたところでFEDの影響力を免れるのは難しい。
 もちろん短期的には効果のある対策はある。先週のECBのメンバーによる口策介入はその一例だ。ユーロドルは1.20台から戻された。今週の政策理事会で総裁がユーロ高に懸念を示せば、ユーロ高に抑制力が働く可能性はある。だが口先介入は何度も効果があるものではない。政策変更の裏付けがなければ足元を見られ、かえって政策当局者に対する不信を招く。
 では実弾で介入すればどうか。ユーロ売り、ドル買い介入だ。もちろん効果はある。口先介入よりも効果は続く。もちろん介入金額や介入の形態にもよる。つまり単独介入か委託介入か協調介入か、で効果は異なる。
 しかし現在ECBが為替の実弾介入をする可能性は極めて低い。一つはそれが各国の通貨安競争に繋がる可能性があり、特に通貨操作国としてトランプ政権から反撃を受ける可能性があるからだ。それにFEDも対抗して介入したらECBの勝ち目はない。もう一つはユーロ高が景気に与える影響が、介入によるマイナス面を打ち消すほど深刻ではないからだ。
 ただECBの対応によってはこれまで眠っていた為替市場が目を覚ます可能性はある。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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