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市場養生訓

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第838回

2020年11月24日

 また新たなコロナワクチン開発のニュースが飛び込んできた。これで三つめだが、値段も安く保存も容易らしい。最近の市場はワクチン開発とコロナウイルス感染拡大による経済の落ち込みとの綱引きの様相を示している。
 週初はワクチン開発が優勢になり、リスクオントレードが支配的になった。外為市場では安全通貨が売られた。特に円は103円台から104円台へ下落した。安全通貨の役割も果たすドルも指数的には若干売られた。いくつかの新興国通貨に対しては目立った。その一つであるメキシコペソはドル下落傾向に拍車がかかり20.0を割り込みそうだ。3月初旬以来の水準になる。バイデン政権への移行が進む中で、政策転換の恩恵を最も受ける通貨の一つとされるからだ。
 どうやらトランプ大統領が政権移行手続きを進めることに同意したと報じられたが、大統領選挙後のトランプ政権は混沌そのものだ。その極まりとも言うべき一つが先週起こった。財務省がFEDに与えた信用供与枠の回収だ。コロナ禍での緊急資金でFEDが経済や金融システムのリスクを管理するために使う資金枠だ。まだコロナウイルスの影響が解消したわけでもないときに、こうした安全装置を取り外すのは普通考えられない。FEDの議長パウエルも大反対だ。今のところ短期の資金供給枠は更新されることになって市場への影響はあまり大きくないが、実際にリスクが顕在化した際にはその分対処が難しくなる。財務長官のムニューシンは、後は野となれ山となれとでも思っているのか。
 中央銀行と財務省が意見を異にするのは珍しくはない。中央銀行は独立した組織だが、全体の政府の政策との整合性を考えて政策を決めることになっている。これは米国でも日本でも同じだ。金融政策は中央銀行だが、通貨政策は財務省に一義的な権限がある。
 例えば為替の市場介入の場合、財務省が方針を決定しニューヨーク連銀が実行する。資金は主に財務省が提供する。ただ連銀の資金で介入する場合もある。日本の場合は財務省の指示で日銀が実務を担当する。資金は財務省の口座からでる。こうした役割分担はあるが、双方が協議をして認識を共有する。こうした協議や認識の共有がなければ市場介入の効果は減殺され、市場に混乱を持たらす可能性が生まれる。
 例えばトランプ大統領はドルの下落を望む発言をしたことがある。その主張がどこまで確固たるものかはわからないが、財務長官が意を汲んで任期切れまでにドル売りの市場介入をすることも無きにしも非ずだ。普通では考えられないことだが、考えられないことをするのがトランプ政権の特徴だ。FEDは当然反対する。市場は大混乱に陥る。
 いずれにせよ財務長官に前FED議長イエレンが就任すればFEDとの協力関係が密になり悪夢は解消する。
 ワクチン開発と経済の落ち込みの綱引きは今後も続きそうだ。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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