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市場養生訓

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第842回

2020年12月22日

 トランプ大統領は相変わらず選挙結果を覆すこと以外には興味はないようだ。ホワイトハウスで取り巻き連中と戒厳令の施行の可能性を議論したと伝えられる。心はベラルーシやベネズエラの大統領と同じだ。だからコロナウイルスの拡大にもロシアから政府機関へのサイバー攻撃にも関心はない。以前騒いでいた米国の貿易赤字の縮小にも興味を失っているはずだ。それは成果が上がらなかっただけではない。
 そんな中で米国はスイスとベトナムを為替操作国に認定した。基準は対米貿易黒字、経常黒字、自国通貨売り介入で、両国は三つの基準を上回った。財務省が認定したわけだが残り1か月ほどの寿命の政権にとってどんな意味があるのか定かではないが、対象国にとっては深刻な意味合いを持つ。三点ある。
 一つは為替操作国の認定が、2国間協議さらに関税引き上げなどの制裁措置に繋がる。これはバイデン政権に受け継がれる可能性が高い。
 二つ目は現行の政策の足かせになることだ。スイスフランは伝統的な安全通貨で、リスクオフ取引で買われる通貨だ。フラン高を抑制するためにSNB(中銀)はマイナス金利を導入しているし、頻繁に為替介入をしている。スイスフラン売り介入だ。ただ多くは対ドルではなく、対ユーロだ。
 だがフラン高をうまく抑制できないことが多い。ユーロスイスフランのレートを1.20を下回るフラン高には無制限介入で抑制しようとした時期もあったが、結局1.20を維持できなかった。直近は1.08台水準だ。対ドルでは年初来フラン高が続いている。直近では0.88水準だ。
 このようにフラン高の抑制はSNBの課題であり基本政策の一つになっている。米国との貿易収支の黒字化を維持するための為替介入ではなく、SNBは介入方針を変えるつもりがないと言明した。とは言いつつも相手は米国だ。完全に無視することはできないだろう。
 ベトナムの通貨ドンの場合は直近では対ドルで23,130水準だが、年初と比べても同水準だ。変動相場制のスイスフランと違って固定相場制をとっている。つまり恒常的な介入で為替水準を維持している。中長期的にはドン安を維持している。これは明らかに貿易取引での競争条件を有利にするためだ。ただベトナムではドルの流通が浸透しているので、その分ドンの影響は限定的になる。
 それでも経済発展のスピードが比較的早く、貿易収支の黒字が増加する中でドン高の圧力は需給的にも政治的にも増していくのは避けられない。
 三つ目はその他の国への影響だ。特に監視リストに入っている国だ。米国が通貨安を警戒する国だが、中国、ドイツ、韓国、日本など10か国が挙げられている。バイデン政権でも監視リストは引き継がれるので、自国通貨売り介入や対米貿易黒字の増加には一段の配慮が求められるはずだ。
 と言うのも、バイデンと同じ民主党のクリントン政権は日米貿易交渉で円高圧力を武器にしたことがあるからだ。
 そうなると外為市場では貿易収支や経常収支が主要な為替変動要因になってくることは歴史が伝えるところだ。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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