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市場養生訓

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第843回

2020年12月29日

 コロナウィルスに明け暮れた今年はあと数日で終わる。市場でも今年を振り返り、来年の展望の指針を考える時だ。今年のポイントとしては5つある。
一つは米国金利だ。前回のFOMCでは国債の購入量の増額は決めなかったものの、1年を通じてみれば金融緩和は量的にも金利水準でも強化された。低金利水準がより長く続くとのメッセージが市場に浸透した。フェドファンドの先物金利から推計される金利水準の見通しでは、フェドファンドの現行水準0-0.25%がしばらく続く可能性がほぼ100%だ。
 こうした金利状況が為替市場でのドル安基調のベースになっている。ドルの長期金利は、財政赤字の拡大やコロナ後の景気拡大期待に基づくインフレ率上昇の可能性で1%近くに上昇している。こうした長期金利の動向は短期金利にも影響を与えるが、そのあたりが来年のポイントになる。
 二つ目はリスクオフ・オン取引だ。今年はリスクオフ・オン取引が変動要因になる局面が多かった。コロナウイルスの影響だ。スイスフラン、円、ドルはリスクオフの時に買われる安全通貨としての位置づけだが、3月ごろはドルが目立った。伝統的な安全通貨のスイスフランと円は1年を通じて需要が続いた。リスクオフ・オン取引はコロナの影響が小さくなればリスクオン取引が優勢になるが一時的で、その後は変動要因としての注目度は低下する。
 三つ目は新興国通貨の選別だ。世界金融危機後に米国を中心に先進諸国が量的金融緩和政策をとったとき、ほとんどの新興国通貨が上昇した。特にドルに対して著しかった。だが今回新興国通貨の多くは上昇しているもののばらつきが目立つ。トルコリラやアルゼンチンペソなどは最安値を更新したし、メキシコペソやインドルピーなどは上昇トレンドに乗り切れない。新興国通貨と一括りにできない時代になった。
 そうした中で注目は人民元の堅調さだ。上昇率が高いわけではないが、独自の強さがある。それは管理された強さだ。市場の為替需給を見ながら資本取引規制の調節、介入、窓口指導などを組み合わせて為替レートを管理している。今後もこうした方法は変わらず、来年もしばらくは堅調な人民元が続きそうだ。
 四つ目はBREXITだ。4年半にわたったBREXIT騒動はとりあえず終息した。BREXITが決まってからは英国の合意なしのEUからの離脱か、合意ありかでポンドのレートは大きく上下に変動した。予測が難しい局面も多く、通貨オプションのボラティリティーが大幅に上昇したのもBREXITの特徴だった。イベントとしてBREXITは合意ありで終わり、ポンドにはポジティブだった。だが今後は英国にとって離脱の意味が本当に問われることになる。英国の離脱派はそ経済よりも主権の回復に価値を置いたが、経済的には残留するケースよりもマイナス面が多くなる可能性が高い。ポンドもそうした状況を反映するはずだ。
 五つ目は通貨に対する信頼だ。特にドルに対する信頼だ。今年は金や仮想通貨の上昇が目立った。直接的にはコロナウイルスによるリスクオフ取引の広がりのためだが、その奥にはドル基軸通貨体制に対する疑問がある。さらに通貨に対する不信もある。
 トランプ政権の経済制裁や中国の経済・軍事面での台頭などが背景にあり、ロシアや旧ソ連諸国、それに中国や一部のアジア・アフリカ諸国はドルの外貨準備の割合を減少させたり、国際取引での決済の非ドル化を進めている。
 戦後国際金融体制は金ドル本位制による固定相場制の時代からドル本位制の変動相場制への時代に移行し世界秩序を維持してきた。そうした既存のシステムが世界金融危機やパンデミックを経て再び新秩序に移行する時期に来ているかもしれない。世界は未曽有の債務拡大の中にある。その中で特に米国の債務拡大が何かの契機でドル離れに繋がる可能性もある。ドル本位制が崩れる契機になるかもしれない。
 皆さん良い年をお迎えください。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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