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市場養生訓

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第846回

2021年01月19日

 米銀でのキャリアをスタートして間もなく、為替と資金取引の研修をギリシャで受けたことがある。プログラムの一つに各人が銀行になり、為替と資金収益を競うゲームがあった。二十数行の銀行間市場が形成された。中央銀行もある。経済指標の発表や政治関係のニュースも流れる。現実の市場と同じだ。そのゲームで学んだことの一つがショートカバーの恐ろしさだ。
 ドル売りを示唆する指標やニュースが流れ、ドルを売る銀行が増える。建値を求められた銀行はドルのビッドレートを極端に低くする。それでもドルの買い持ちポジションを持つ銀行は売る。ドルのレートはさらに下がる。最終的には中央銀行にドル買いポジションが累積され、ほとんどの銀行が限度額いっぱいのショートポジションを持った。
 そこでA銀行がB銀行からドルを買う。B銀行はショートポジションを増やせないので、C銀行からドルを買うカバー取引をする。そうした取引が繰り返される。その過程でドルのレートが上昇する。そのうちドルショートポジションのコストより上昇すると他の銀行も急いでショートカバーに走る。その間ドル買いを示唆する経済指標やニュースは発信されないのにドルは急激に戻し、前の水準よりも高くなった。結局市場全体で損失を出した銀行の数の方が多くなった。ショートカバーの威力だ。
 最近のシカゴの先物市場のデータでは投機取引でのドルショートポジションの残高が約3年ぶりの高い水準を記録した。この先物市場は全体の市場のほんの一部だが、ここではヘッジファンドや商品取業者などが参加していて投機取引の動向を把握するうえで参考にはなる。他に有効なデータがないという事情もある。
 投機取引の動向が為替レートを判断する際に重要なのは、市場全体の90%以上は投機取引だからだ。残りが実需取引になる。だからと言って実需取引が為替レートの動向を判断するうえで軽んじていいわけではない。実需取引の動向は投機取引にとって為替変動要因の一つになるからだ。実需とは貿易や債券・株取引などの商取引に絡んだ為替取引のことだ。
 そこで問題は、今後ショートカバーが断続的に繰り返され、ドル上昇局面に入るかどうかだ。
 ドルの長期金利には上昇圧力があるが短期金利は低水準が続きそうだ。米国の貿易、財政の双子の赤字やEUのドル依存体制の見直しの動きなどは中長期的にはドル離れを促す要因になる。つまり中長期的にはドル安見通しは残る。
 そうした点を考えるとショートカバーは断続的に起きるがドルの頭が抑えられる展開になるかと思う。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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