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市場養生訓

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第847回

2021年01月26日

 ポンドが堅調だ。ポンドドルは先週1.37台まで上昇した。対ユーロでは年初来の安値から200ポイント近く上昇している。BREXITの騒動が一応収束して関心が薄くなった市場に対して存在を主張しているようだ。
 このところのポンド堅調の要因はいくつかある。12月のインフレ率が予想以上に高かった。それで一時はマイナス金利の導入の可能性も考慮された追加的金融緩和の可能性が減少したこと。コロナワクチン接種の展開が比較的進んでいること。これが他国と比べると早期の景気回復をもたらす期待を生んだこと。それにBREXIT収束前かあら積みあがっていたポンドショートのポジションのカバーによるポンド買いがあること、などが挙げられる。
 一方でユーロサイドを見ると、先週ECBは理事会で政策金利や債券購入額は据え置いた。だが購入額は状況によっては目標以下になる場合も、以上になるケースもあるとした。つまり政策の解釈に柔軟性を持たせた。これはECBメンバーの中で積極的な金融緩和を警戒するタカ派への配慮とみなされ、市場ではユーロ買い要因になった。
 コロナワクチンに関しては接種の展開が想定よりも遅く、それが景気回復のタイミングを不透明にさせている。ポンドに対して相対的にネガティブ要因になる。
 そこでユーロポンドの値動きを見ると、昨年5月からは0.88から0.92のレンジ相場になっている。直近は0.8880とレンジの下限(ユーロ安ポンド高)近くで取引されている。
 このレートがどう展開するか。BREXITの離脱条件合意前はBREXIT要因がポンドの変動幅を大きくしていた。だが現在はポンドのボラティリティーを急に高めるような要因は見当たらない。変動幅はそれほど大きくはならない。短期的に影響があるのはコロナウイルスとワクチンの戦いの行方だ。それが各国の金融政策のタイミングを規定し、為替レートにも反映される。
 ポンドのショートカバーについてはそろそろ終わる。今回は通貨オプションでのポジション(ポンドプットの買いなど)が比較的多かったので現物のショートカバーはそれほどでもない。その点ではユーロ誕生の時からユーロ売りがだらだら続いた局面とは異なる。(ユーロ誕生前にマルクのロングポジションが累積された)
 それに英国にとってのユーロ離脱のマイナス面は中長期的に顕在化する可能性が高い。
 以上の諸点を総合的に考えると、ユーロポンドは0.88を底に0.90台に向かって戻すのではないかと思う。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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