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市場養生訓

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第858回

2021年04月20日

 先週、米国はロシアに対する広範な制裁措置を発表した。米大統領選への介入やサイバー攻撃に対する報復措置だが、バイデン政権になって初めてのロシアへの制裁だ。関係した企業や個人に対する制裁や外交官の追放などの他に、米国の金融機関によるロシア国債の取引禁止が含まれた。
 それでロシアルーブルが売られた。だが2%ほど下落した後、その日のうちに戻した。直近ではドルルーブルは76.20近辺で推移している。つまり今回の制裁によるルーブルへの影響はほとんどなかった。
 今年になって新興国通貨は全般的に弱含みの傾向にある中での制裁措置はルーブルへの売り圧力を増すかと思われたが、かえってルーブルの底堅さを知らされたことになる。
 米国の最初のロシア国債への制裁は2019年だが、その時はロシアの外貨建て国債が対象だった。ロシアの対外債務が膨らむ中で外貨調達に支障をきたす懸念を抱く市場参加者もあり、ルーブルをはじめ資産価格全般に下落圧力がかかった。と言ってもその後ロシアは外貨調達に支障をきたすことはなかった。
 今回の影響が今のところ軽微だったのは第一に、ロシア国債の取引禁止と言っても発行市場だけで流通市場での取引は問題なく売買できる。発行市場での穴はロシアの国有銀行が十分埋められる見込みだ。もちろん米国もそれは承知の上での措置だろう。
 次に、ルーブルは今回に限らず、過去1年間の動きを見ても比較的安定した動きをしている。外貨準備は増加傾向にあり、6千億ドル近くある。政府債務残高もGDP比20%程度と、新興国水準からみても低く、先進国との比較では圧倒的に低い。つまり通貨価値を支える条件がある程度整っている。そのため比較的高いイールドのロシア国債への需要が期待できるのだ。
 さらに、ロシアには中央アジアなど周辺国からの出稼ぎ労働者がいて本国への送金をしている。それらの国にとって1.2の外貨収入源だが、それらを可能にしているのは上記の継続的な資本流入があればこそだ。
 その点ではロシアはルーブル切り下げ、インフレ高騰、外貨準備急減、債券暴落と続いた98年のロシア金融危機の時とは様相は違う。もっとも米国が次の制裁措置で国債の流通市場取引まで禁止した場合、影響は軽微に留まらないだろう。それでもプーチン大統領の権威主義と強権政治はルーブルにとっては安定作用の方が大きい。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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