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市場養生訓

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第867回

2021年06月29日

 今週は米国の雇用統計が発表される。6月の非農業部門の雇用者数の平均的な予想は70万人増加で前月よりも大幅な増加になる。失業率は5.7%で前月よりもわずかだが改善する。予想よりも良ければドル金利上昇圧力は増す可能性がある。
 FOMCのメンバーは従来の利上げ見通しの時期を23年に前倒ししたが、金融市場の参加者の見通しはさらに前倒しされ来年9月頃になってきた。フェドファンドの先物レートから判断すると、来年9月には利上げ見通しが金利据え置きを上回る。来年12月には据え置きの可能性は25%程度で、75%は1回以上の利上げを見込んでいる。
 ドル金利の利上げの影響は広範にわたるが、その一つは新興国通貨に対する影響だ。これは世界金融危機後の米国などの量的金融緩和政策の開始とその縮小時に新興国通貨の変動が激しかった事実がある。
 量的緩和政策が繰り返される中でドルは下落し、多くの新興国通貨は大きく上昇した。それらの新興国の輸出は競争力を失い経済は打撃を受けた。市場介入や資本規制などで対応したが通貨高は容易に止まらなかった。ブラジルの財務大臣は通貨戦争を仕掛けていると米国を非難したほどだ。
 緩和政策の縮小の際は新興国から米国へ資本が流出し、新興国の通貨は大幅に下落し、インフレが高進、金利が上昇して経済にダメージを与えた。介入や資本規制を施しても流れを止めるのは難しかった。いずれにせよそれほどドル金利の変動は新興国経済に与える影響が強かった。
 では今回の緩和縮小時にも同様な局面が展開されるのだろうか。結論から言えば半分イエスで半分ノーだ。
 と言うのも新興国は以前よりは変動に対する対応力が高まっている。具体的には外貨準備額の増加が一つ。これは外貨売り自国通貨買いの介入力を増すと同時に通貨の信用の支えになる。資本市場の発展もある。自国通貨で資金調達できる部分が増え、外貨だけに頼る構造が変わりつつある。三つ目は既に利上げを実施している国が増え、ドルとの金利差の面で資金が継続的に流出する状況でもない。
 ただそうは言っても世界の基軸通貨のドルの金利だ。影響がないことはあり得ない。ドル金利が上昇すれば資本流出は発生する。問題はその程度と継続性だ。それにより為替レートの変動幅が決まる。
 特にダメージを受けるのは、経常収支の赤字国や資金調達力に支障が出やすい信用格付けの低い国などだ。外貨建て負債の規模がGDP比で大きい国も影響を受けやすい。
 新興国通貨は以前のように一様ではなく、通貨の変動にも大きな差異が生まれるのは当然だろう。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。


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